世界各国のイールドスプレッド比較(2018年6月末)


2018年6月末の世界各国のイールドスプレッドを見ていきます。

※イールドスプレッドは株式のバリュエーションを判断する指標のひとつです。
債券同士の利回り格差や株式と債券の利回り差を指し、それぞれの利回りを比較することで相対的な割高感・割安感を判断する指標のひとつとなる。
債券同士の場合は、一般的に長期国債を基準に、残存期間や信用度から債券利回りの割安・割高を判断する。債券と株式の場合は、長期国債の利回りから配当利回り(=年間配当金÷株価)や株式益回り(=1株利益÷株価)を引いた数値を比較する。
引用元:野村證券「証券用語解説集」
今のところはイールドスプレッドやリスクプレミアム、期待リターン等を見るよりは、単純にCAPEレシオを基に判断したほうが良いような気がしているのですが、せっかくなのでこのまま定点観測していこうと思っています。
(過去記事:米国株(S&P500)のイールドスプレッド推移
(過去記事:米国株のリスクプレミアム推移


イールドスプレッド比較(2018年6月末時点)


PER益利回り10年国債
利回り
イールド
スプレッド
中国7.413.51%3.49%-10.03%
シンガポール9.710.31%2.54%-7.77%
韓国10.39.71%2.56%-7.15%
日本14.46.94%0.03%-6.91%
ドイツ14.27.04%0.31%-6.73%
ハンガリー10.010.00%3.67%-6.33%
台湾13.97.19%0.94%-6.25%
オーストリア15.76.37%0.58%-5.79%
オランダ16.06.25%0.47%-5.78%
スウェーデン16.66.02%0.50%-5.52%
ロシア7.613.16%7.70%-5.46%
ポーランド11.68.62%3.21%-5.41%
アイルランド16.85.95%0.82%-5.13%
フランス17.65.68%0.67%-5.01%
チェコ13.97.19%2.21%-4.98%
スペイン16.06.25%1.33%-4.92%
ベルギー18.05.56%0.70%-4.86%
香港14.27.04%2.22%-4.82%
イスラエル15.06.67%1.99%-4.68%
デンマーク20.14.98%0.33%-4.65%
英国17.35.78%1.28%-4.50%
ノルウェー17.45.75%1.78%-3.97%
スイス25.73.89%-0.07%-3.96%
イタリア15.16.62%2.69%-3.93%
タイ15.36.54%2.62%-3.92%
フィンランド22.54.44%0.55%-3.90%
カナダ17.95.59%2.17%-3.42%
ギリシャ13.77.30%3.96%-3.34%
ポルトガル19.75.08%1.79%-3.29%
オーストラリア17.55.71%2.66%-3.06%
米国21.84.59%2.85%-1.74%
ニュージーランド22.44.46%2.88%-1.59%
マレーシア18.05.56%4.21%-1.35%
フィリピン18.25.49%6.42%0.93%
南アフリカ13.57.41%8.84%1.43%
インドネシア17.85.62%7.80%2.19%
メキシコ19.45.15%7.60%2.45%
トルコ7.912.66%16.30%3.64%
インド24.94.02%7.90%3.89%
ブラジル16.95.92%11.62%5.70%

※PERははStarCapital AG、10年国債利回りはInvesting.comのデータを使いました。

グラフ化すると以下のようになります。
先月と比べてPERは全体的に下がっているところが多いですが、10年国債利回りは先進国では下落、新興国は上昇しているところが多い印象です。

特にトルコの10年国債利回りは13.85%→16.30%と大幅に上昇しています。また、トルコのインフレ率についてはエミン・ユルマズさんが「トルコ統計局発表の最近の物価指数は12%程度ですが、統計の取り方にやや問題があり、実体は20%くらいなのではないか」と書かれていますが、利下げを望んでいそうなエルドアン大統領の再選が決まったので更にインフレが酷くなるような気もしますし、今後の動向に注目ですね。
(参考記事:エミン ユルマズさんとトルコ大統領選、総選挙直前論点整理!

イールドスプレッドが特に割安なのは中国(-10.03%)、シンガポール(-7.77%)、韓国(-7.15%)、日本(-6.91%)、ドイツ(-6.73%)、ハンガリー(-6.33%)、台湾(-6.25%)、 割高なのはブラジル(5.70%)、インド(3.89%)、トルコ(3.64%)、メキシコ(2.45%)、インドネシア(2.19%)、南アフリカ(1.45%)です。

CAPEレシオを使ったイールドスプレッド比較(2018年6月末時点)

最後に、益利回りの代わりにCAPEレシオの逆数を使ったイールドスプレッドを比較してみます。イールドスプレッドを計算するときにCAPEレシオを使うのが正しいのかは分かりませんが、PERを使った場合よりも一時的な要因を除けるので併せてチェックしています。


CAPE益利回り
(CAPEの逆数)
10年国債
利回り
イールド
スプレッド
ロシア6.315.87%7.70%-8.17%
チェコ9.810.20%2.21%-7.99%
スペイン13.27.58%1.33%-6.25%
ポーランド11.28.93%3.21%-5.72%
シンガポール13.47.46%2.54%-4.93%
オーストリア18.35.46%0.58%-4.89%
ポルトガル15.06.67%1.79%-4.88%
ドイツ19.45.15%0.31%-4.85%
英国16.66.02%1.28%-4.75%
イスラエル15.36.54%1.99%-4.55%
韓国14.66.85%2.56%-4.29%
ノルウェー16.75.99%1.78%-4.21%
スイス24.24.13%-0.07%-4.20%
スウェーデン21.44.67%0.50%-4.17%
フランス20.94.78%0.67%-4.12%
フィンランド22.34.48%0.55%-3.94%
台湾21.34.69%0.94%-3.75%
オランダ23.94.18%0.47%-3.72%
香港16.95.92%2.22%-3.70%
ハンガリー13.67.35%3.67%-3.68%
日本27.03.70%0.03%-3.67%
ベルギー25.13.98%0.70%-3.29%
イタリア17.55.71%2.69%-3.03%
タイ18.65.38%2.62%-2.76%
デンマーク33.92.95%0.33%-2.62%
オーストラリア19.05.26%2.66%-2.60%
カナダ21.94.57%2.17%-2.40%
中国17.55.71%3.49%-2.23%
マレーシア15.76.37%4.21%-2.16%
アイルランド45.12.22%0.82%-1.40%
ニュージーランド25.53.92%2.88%-1.05%
米国30.33.30%2.85%-0.45%
フィリピン18.95.29%6.42%1.13%
インドネシア17.05.88%7.80%1.92%
メキシコ21.34.69%7.60%2.91%
南アフリカ18.45.43%8.84%3.40%
インド22.34.48%7.90%3.42%
ブラジル12.38.13%11.62%3.49%
トルコ9.410.64%16.30%5.66%
ギリシャ-5.0- 3.96%-

※CAPEレシオはStarCapital AG、10年国債利回りはInvesting.comのデータを使いました。

グラフ化すると以下のようになります。

CAPEレシオを使った場合だと、先月に引き続きロシア(-8.17%)とチェコ(-7.99%)が群を抜いて割安です。

トルコ(5.66%)、ブラジル(3.49%)、インド(3.42%)、南アフリカ(3.40%)、メキシコ(2.91%)、インドネシア(1.92%)、フィリピン(1.13%)は割高です。

トルコはイールドスプレッドでみると超割高に見えますが、GDP成長率を加味した期待リターンを計算すると中国に次いで高いリターンになります。ウィリアム・シャープ曰く、期待リターンはほとんど役に立たないそうですが、トルコは見方によって割安に見えたり割高に見えたりするので判断が難しいです。
(過去記事:実質期待リターン=株式益利回り+実質GDP成長率


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