DGRE(ウィズダムツリー新興国株クオリティ配当成長ファンド)


今回はウィズダムツリーの新興国株ETF、DGRE(ウィズダムツリー 新興国株クオリティ配当成長ファンド)についてです。

DGREは有配の新興国株のうち、グロースファクター(長期的な利益成長の期待)とクオリティファクター(ROAおよびROEの過去3年間の平均値)の組み合わせの順位付けを用いて選定された300銘柄で構成されている配当加重平均のETFです。

別のウィズダムツリー新興国株ETFのDGS(ウィズダムツリー 新興国小型株配当ファンド)は高配当+小型株効果を期待して投資しているのですが、最近、DGREも気になっています。
(過去記事:DGS(ウィズダムツリー 新興国小型株配当ファンド)

DGRE(ウィズダムツリー 新興国株クオリティ配当成長ファンド)

バリュエーション等比較

まずはバリュエーション等をDGS(ウィズダムツリー 新興国小型株配当ファンド)、DEM(ウィズダムツリー 新興国株 高配当ファンド)、VWO(バンガード・FTSE・エマージング・ マーケッツETF)と比較してみます。

DGREはやや高PER、低配当利回りですが、クオリティというだけあって、ROAは他の2倍超、ROEは1.6~1.7倍程度もあります。規模が小さすぎて投資する上で不安がありますが、経費率は0.32%と新興国のスマートベータETFとしては低水準だと思います。

経費率PER配当利回りROEROAAUM
($10億)
銘柄数
DGRE
クオリティ配当成長
0.32%16.472.21%27.73%15.60%0.08266
DGS
小型高配当
0.63%11.243.36%17.29%7.52%1.43756
DEM
高配当
0.63%10.033.88%16.31%6.58%1.911001
VWO
時価総額加重平均
0.14%14.972.70%16.78%7.22%57.663820
※ROEとROAはYcharts、それ以外はETF.comのデータを使っています。

国別構成比率

時価総額加重平均のVWOと比べると韓国、ロシア、インド、インドネシア、メキシコのウェイトが高く、中国とブラジルが低いです。VWOは中国のウェイトが大きすぎますし、DGSやDEMではインドのウェイトがかなり小さくなってしまうので、国別構成比率ではDGREが一番好みですね。

ただ、グロースファクターとクオリティファクターでスクリーニングすると現時点でこの構成比率になっているというだけで、数年経つとガラっと変わっていそうな気もしますし、例えばインド株のウェイトが高いETFとしてDGREを買うのはあまり良くなさそうです。

DGREDGSDEMVWO
インド17.8%3.7%2.6%11.5%
台湾15.3%27.6%27.5%14.5%
中国12.5%16.0%16.8%34.8%
ロシア10.8%0.1%14.6%3.6%
南アフリカ9.3%10.3%10.3%7.2%
韓国7.6%8.7%2.9%
インドネシア6.5%2.8%1.1%2.1%
メキシコ6.3%2.9%2.8%3.5%
ブラジル3.7%4.0%2.7%7.1%
タイ3.3%6.8%5.6%3.7%
香港2.1%4.9%5.5%
マレーシア1.8%5.6%2.8%3.2%
トルコ1.4%1.3%1.4%0.8%
チリ0.8%1.8%1.0%1.3%
ポーランド0.4%0.7%0.6%1.3%
フィリピン0.3%0.9%0.6%1.3%
シンガポール0.3%0.4%0.1%
チェコ1.1%1.1%0.2%
ハンガリー0.2%0.3%
アラブ首長国連邦0.9%
カタール0.9%
コロンビア0.4%
ギリシャ0.4%
ペルー0.4%
エジプト0.2%
パキスタン0.2%

組入上位銘柄

組入上位10銘柄が占める割合は33.61%で、VWOの19.3%、DGSの9.19%、DEMの28.68%と比べても大きいです。分散という意味ではDGSが優れています。

また、新興国株ETFとしては珍しく、ロシア株(非鉄金属生産大手ノリリスク・ニッケルと天然ガス生産大手ノヴァテク)が組入上位に入っています。
(過去記事:ERUS(iシェアーズ MSCI ロシアETF)構成上位銘柄②

セクター比率

VWOと比べると一般消費財、生活必需品、ヘルスケアセクターの比率が高く、金融、エネルギーセクターが低いです。

DGREDGSDEMVWO
テクノロジー22.08%17.79%11.76%24.29%
一般消費財17.61%15.22%4.97%7.64%
生活必需品17.11%7.14%1.89%6.49%
素材9.48%9.95%12.61%7.85%
資本財7.73%14.59%3.70%6.90%
電気通信7.40%1.14%11.79%4.40%
ヘルスケア6.57%3.45%0.64%3.11%
金融5.94%22.61%25.36%27.66%
エネルギー3.79%3.90%22.89%8.59%
公益2.51%3.36%5.34%3.19%

パフォーマンス比較

DGREは2013年8月1日に設定されたばかりの新しいETFなので約5年間(2013年9月~2018年8月)しかありませんが、パフォーマンスの比較です。
リターンはVWO>DGS>DGRE>DEM、ボラティリティはDGS<DGRE<VWO<DEM、シャープレシオはDGS=VWO>DGRE、DEMです。

高配当のDEMは一見ディフェンシブに思えますが、ロシア株のウェイトが高いためか最大ドローダウンとボラティリティは他よりも大きいです。

新興国株のファクター別パフォーマンス('98年12月末~'17年1月末)

下表は新興国株のファクター別パフォーマンスです。トータルリターンではエンハンスト・バリュー、シャープレシオでは最小分散が最も優れていますが、エンハンスト・バリューや最小分散のETFは国内では取扱いがありません。DGREは配当成長なので高配当ではありませんが、クオリティ×配当成長というのも良いんじゃないかなと思っています。
出典:BMO Global Asset Management



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