株式市場の時価総額÷名目GDP×100%実際にウォーレン・バフェットが使っているのかどうか分かりませんが、この指標が100%を超えると割高とされます。
GuruFocusでは世界各国のバフェット指標を確認できる
バフェット指標はGuruFocusの「Global Stock Market Valuations and Expected Future Returns」で確認することができます。名目GDP、バフェット指標(Total Market/GDP Ratio)、過去の最小値と最大値が載っています。
※米国の時価総額は市場全体をカバーするWilshire Total Market indexですが、他の国は同様の指数が存在しないため、その国で最も支配的な指数で代替しています。ほとんどの指数は市場全体の70%以上をカバーしているそうですが、米国以外の国は実態よりもバフェット指標が低めに出ていると思ったほうが良さそうです。
出典:GuruFocus
全体的には非公開企業が多い新興国で低めになっている印象です。先進国ではドイツとイタリアが常に低いですが、両国は非上場の同族企業が多いみたいなので参考にならないのかもしれません。
また、バフェット指標はGNPではなくてGDPで計算しているので、スイスなど人口が少ない割に巨大な多国籍企業が存在する国は常にやや高めに出てしまうんじゃないかなと思います。
グラフはマウスオーバーすることで、現在値、最小値、最大値が表示されます。中国、オーストラリア、シンガポール、スペイン、イタリア、ロシアは最小値付近にあります。
出典:GuruFocus
バフェット指標の現在値を昇順に並べると以下のようになります。
スイス、日本、米国、スウェーデンが過大評価されている一方で、イタリア、ロシア、メキシコ、中国、ドイツは過小評価されています。ただし、国によって非公開企業の割合が違うので、各国のバフェット指標の絶対値だけを単純に比較するのはほとんど無意味だと思われます。
各国の期待リターン
GuruFocusの同ページには各国の期待リターンも載っています。期待リターンは以下のように計算されています。
名目GDP成長率+配当利回り+バリュエーションの平均回帰バリュエーションの平均回帰はバフェット指標が今後8年間で過去平均に回帰すると仮定したもので、配当利回りはiシェアーズETFの分配金の過去5年平均から計算しているようです。
現在の各国の期待リターンは以下のようになっています。
出典:GuruFocus
ただし、これは過去の名目GDP成長率をそのまま使っているので、新興国は期待リターンが特に高く出てしまっています。
たとえばロシアは名目GDP成長率11.21%+配当利回り2.60%+バリュエーション変化14.06%=27.9%となっています。ですが最近の実質GDP成長率は2%未満で、長期的な予想値も同様なので、27.9%の期待リターンは明らかに過大評価だと思われます。
(配当利回りは逆に過小評価されていますが…)
Research Affiliatesの期待リターンも似たような方法で算出されていますが、こちらは実質/名目を選択できて便利です。
(過去記事:世界各国の時系列CAPEレシオ(シラーPER)が見られるサイト)
ちなみにResearch Affiliatesでのロシアの期待リターンは12.8%(配当利回り5.6%+成長率2.7%+バリュエーション変化4.4%)になっており、トルコの14.0%に次いで高い期待リターンとなっています。
ただし、ウィリアム・シャープ曰く期待リターンはほとんど役に立たないそうなので、期待リターンはあくまでも参考程度にとどめておいたほうがいいのかなと思います。
(過去記事:実質期待リターン=株式益利回り+実質GDP成長率)
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