商品の価格が上がると企業の売上・利益も上昇するので、株価はインフレにともなって上昇するとされるためです。
株式は低インフレ下のほうが高パフォーマンス
ですが、実際には株式は低インフレ下のほうが高パフォーマンスのようです。下表は1928~2014年の株式、債券、現金(Tビル:財務省短期証券)の実質リターンです。株式も債券も現金も低インフレ下のほうが実質リターンが高くなっており、インフレ率が6%超ではすべてマイナスです。
出典:A Wealth of Common Sense |
以下の記事でも触れましたが、金利上昇局面(≒インフレ上昇局面)ではEPSが増加したとしても、それ以上にバリュエーションが縮小します。「株価=EPS×PER」なので、 インフレが上昇してEPSが増えたとしても、同時にPERが下がっていくと株価はあまり上がらず、インフレ調整後ではマイナスになります。
(過去記事:長期金利上昇局面と低下局面における米国株のリターン)
(過去記事:長期金利上昇局面ではバリュエーションが縮小する)
下図は実質なのか名目なのか分かりませんが、インフレ率-2.5%以下を除くとインフレが低いほどトータルリターンも高くなっています。激しいデフレは株式にとってマイナスですが、基本的にはインフレは低いほうが良いようです。
出典:MoneyWeek |
インフレヘッジとしてはゴールドが有効
下表は株式、債券、Tビル、ゴールド、住宅の実質リターン(幾何平均と算術平均)、ボラティリティ、インフレ感応度です。※ただし、住宅だけトータルリターンではなくキャピタルゲイン(住宅価格上昇率)になっているようです。
インフレ感応度は株式が-0.52、債券が-0.74、Tビルが-0.62、ゴールドが0.26、住宅が-0.20となっており、プラスはゴールドだけです。
出典:My Money Blog |
Tビルはデュレーション(償還までの期間)が非常に短く、実質的に金利上昇の影響を受けません。そして短期金利はインフレにともなって上昇するので、インフレの影響をほとんど受けない資産だと思っていたのですが、案外そうでもないようですね。
Tビル(3カ月物)の利回りとインフレ率の推移
下グラフはTビル(3カ月物)の利回りとインフレ率の推移を見てみると、ほとんどの時期ではTビル利回りがインフレ率を上回っていますが、高インフレ時(1950年前後や1970年代)やリーマンショック以降のゼロ金利政策下ではインフレ率を大きく下回っている状態が続いていることが分かります。特に1950年前後の実質リターンはかなり悪そうです。出典:FRED |
インフレヘッジとしてはやはりゴールドが一番良さそうですね。
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