StarCapital AGでは40カ国をカバーしており、CAPEレシオ以外にもPER、PCFR、PBR、PSRなどのデータも載っています。Research Affiliatesは対象国数は少なめですが、CAPEレシオの時系列チャートがあるので重宝しています。どちらも毎月更新されます。
(過去記事:世界各国の時系列CAPEレシオ(シラーPER)が見られるサイト)
ほとんどのはこの2サイトを見れば事足りるのですが、ナイジェリアやパキスタンといった投資対象としてはマイナーな国は載っていません。
ナイジェリアは時系列のPERデータが入手できないのでどうしようもありませんが、パキスタンについては「myINDEXの世界各国のPER・PBR・時価総額 (毎月更新)」に2009年9月以降の月次PERが載っています。
今回はmyINDEXのPERとMSCIパキスタンの株価データを使って、CAPEレシオを計算してみました。
(過去記事:MSCI指数データのダウンロード方法)
MSCIパキスタンのCAPEレシオ概算
CAPEレシオは現在株価を過去10年間の平均実質EPS(インフレ調整後)で割って計算します。(本当は月次のデータを使って計算するものだと思いますが、今回は面倒なので年次のデータを使うことにしました。)
まずは現地通貨(パキスタンルピー)建ての実質EPSを以下のように計算します。
※為替レートはGoogleFinance、実質EPSを計算するためのCPIはIMFのデータを使いました。
- MSCIパキスタンのドル建て株価 × USD/PKRレート = 現地通貨建て株価
- 現地通貨建て株価 ÷ PER = 現地通貨建てEPS
- 2018年のCPI ÷ X年のCPI × 現地通貨建てEPS = X年の現地通貨建て実質EPS
実質EPSの10年平均は1,649となり、2018年12月時点では
- CAPEレシオ = 株価9,258 ÷ 平均実質EPS1,649 = 5.61
2019年8月末時点ではドル建て株価が50.8、現地通貨建て株価が8,002なので、上記の平均実質EPSをそのまま使うと、
- CAPEレシオ = 株価8,002 ÷ 平均実質EPS1,649 = 4.85
年次データをもとに大雑把に計算しているので正確なものではありませんが、パキスタンはロシアやトルコよりも低CAPEの可能性が高そうです。
MSCIコロンビアのCAPEレシオ概算
ついでなので、StarCapital AGにはCAPEレシオが載っていない国として、MSCIコロンビアでも計算してみました。実質EPSの10年平均は150,685となり、2018年12月時点では
- CAPEレシオ = 株価1,783,047 ÷ 平均実質EPS150,685 = 11.83
とりあえず計算はできましたが、パキスタンとコロンビアは正しいCAPEレシオが分かりません。
この計算でだいたい合っているかを確認するために、正しいCAPEレシオが分かっているトルコとロシア(低CAPE・高インフレ)、スイス(高CAPE・低インフレ)についても計算してみました。
MSCIトルコのCAPEレシオ概算
トルコの実質EPSは以下のようになっています。実質EPSの10年平均は161となり、2018年12月時点では
- CAPEレシオ = 株価1,263 ÷ 平均実質EPS161 = 7.83
StarCapital AGでは2018年12月時点のトルコのCAPEレシオは7.8だったので、今回簡易計算した結果と一致しました。
(過去記事:世界各国のイールドスプレッド比較(2018年12月末))
MSCIロシアのCAPEレシオ概算
ロシアの実質EPSは以下のようになっています。実質EPSの10年平均は6,003となり、2018年12月時点では
- CAPEレシオ = 株価39,569 ÷ 平均実質EPS6,003 = 6.59
StarCapital AGでは2018年12月時点のロシアのCAPEレシオは6.4だったので、これも結構近い数字になっています。
MSCIスイスのCAPEレシオ概算
スイスの実質EPSは以下のようになっています。実質EPSの10年平均は235.35となり、2018年12月時点では
- CAPEレシオ = 株価4,809 ÷ 平均実質EPS235.35 = 20.43
StarCapital AGでは2018年12月時点のスイスのCAPEレシオは22.9だったので、これは結構な差がありますね。
スイスの場合は2009年→2010年でEPSが急増しているので、こういう変動が激しい場合にはきちんと月次データを使ったほうがいいのかもしれません。
まとめ
簡易計算したCAPEレシオ、StarCapital AGのCAPEレシオ(CAPE(SC))、Research AffiliatesのCAPEレシオ(CAPE(RA))をまとめてみました。※すべて2019年12月時点です。
比較できるのはトルコとロシアとスイスの3つだけですが、年次のデータを使ってもそこそこ実際に近い数値になりそうな気がします。
よろしければ応援クリックお願いします
コメント