期待リターン
期待リターンは以下のように表すことができるため、人口増加率が高い国ほど高成長となり、株式リターンにとってはプラスとなります。- 期待リターン=株式益利回り(PERの逆数)+企業利益成長率
- 企業利益成長率≒GDP成長率=人口増加率+1人当たりGDP成長率
- 期待リターン≒株式益利回り(PERの逆数)+人口増加率+1人当たりGDP成長率
過去記事:米国の企業利益成長率と名目GDP成長率の関係
なので、日本よりも米国株や新興国、新興国のなかでも中国や台湾よりも人口増加が期待できるインドやブラジルなどのほうが有利なのは確かだと思います。
世界各国の予想人口増加率
下図はPwCが予想する各国の2016-2050年の年平均実質GDP成長率(人口増加率+1人当たり実質GDP成長率)です。出典:PwC |
人口増加率が最も低いのは日本で-0.5%、最も高いのはナイジェリアで+2.3%です。
主要な国では米国+0.5%、イギリス0.0%、中国-0.1%、フランス+0.3%、カナダ+0.6%、ドイツ-0.2%、オーストラリア+0.9%、韓国0.0%、インド+0.7%、ブラジル+0.4%、ロシア-0.3%となっています。
1人当たりGDP成長率はこの数値が妥当なのかよく分からないので今回は割愛します。
人口減少国とタバコ株
たとえば米国と日本の予想人口増加率には1.0%ポイントの差がありますが、米国の人口増加と日本の人口減少は既に株価に織り込まれているはずです。期待リターンを以下の式で表したとき、日本は人口増加率が低い分だけ株式益利回りが高く(PERが低く)なり、米国は人口増加率が高い分だけ株式益利回りが低く(PERが高く)なるはずです。
- 期待リターン≒株式益利回り(PERの逆数)+人口増加率+1人当たりGDP成長率
※実際には期待リターン(割引率)はカントリーリスクが高い国ほど高くなるので、米国と日本では同じ数値にならないと思いますが…
過去記事:世界各国のカントリーリスクプレミアム 既に株価に織り込まれているのと同じ程度で人口増加/人口減少が起こるだけだったら特に有利とか不利ということはないと思うんですよね。
私は当ブログを始めたばかりのときは人口減少国である日本にはあまり投資したくないなと思っていたのですが、株価に既に織り込まれている以上のペースで人口減少しない限りは特に問題ないのではと思うようになりました。
これはタバコ株にも言えることで、タバコの需要が今後縮小していくことは既に株価に織り込まれているため、織り込まれているペースで縮小していくこと自体は問題ありません。問題となるのは織り込まれている以上のペースで急激に縮小していく場合だけです。
※ちなみにWHOによると世界の喫煙率は2010年の27.3%から2020年には22.8%まで低下する見通しだそうです。
参考:世界の男性喫煙者、初の減少へ WHO見通し
そしてだいたいは高成長低PERか低成長高PERかのどちらかだと思いますが、ナイジェリア株は世界有数の人口増加率を誇るうえに株式バリュエーションも最低水準なので有望なんじゃないかなと思っています。
補足:PERと成長率
PERは下式で表されるため、
- PER=1/(期待リターン-成長率)
一方、期待リターン=9%、成長率=-2%とすると、PER=1/(0.09+0.02)=9.1となります。
つまり、成長率4%でPER20の株と成長率-2%でPER9.1の株はどちらを買っても期待リターンは同じということになります。
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