株価=PER×EPS(1株当たり純利益)なので、PERが不変なら、法人税減税/増税によってEPSが変動した分だけ株価も変動します。
(実際には法人減税ではPER拡大、法人増税ではPER縮小が起こりそうなので、EPS以上に株価は動きそうですが。)
最近ではインドで法人税率が30%から22%に引き下げられ、株価が急騰しました。
また、アメリカでは大統領選で民主党候補が勝利し、法人減税を元に戻せばEPSが11%減になると推測されています。この場合はPERが不変なら株価も11%下がります。
過去記事:【短信】法人減税を元に戻せばEPSが11%減に:ゴールドマン(The Financial Pointer)
法人税率は国によってかなり差がありますが、この税率は株価に織り込まれています。そのため、法人税率が低い国に投資するのが有利とか、逆に税率が高い国は不利みたいなことは無いはずです。
(逆にインドみたいに比較的税率が高い国は引き下げ余地が大きく、アメリカみたいに大幅減税された国では政権が変わったときの引き上げ余地が大きいとかはあるかもしれませんが…)
このように法人税率が株価に織り込まれているというのは当たり前のことだと思います。
配当課税やキャピタルゲイン税は織り込み済みなのか
企業の利益にかかる法人税率が株価に織り込まれているとしたら、投資家にかかる配当課税やキャピタルゲイン税はどうなのでしょうか。下記記事でも書いたのですが、私は配当課税やキャピタルゲイン税も株価に織り込まれていると思っています。
過去記事:配当にかかる税率は株価に織り込まれているのだろうか
投資家は以下のように期待リターンを認識しているイメージです。キャピタルゲイン税は売らなければ繰り延べできるので実際にはもっと複雑になるはずですが…
- 期待リターン=(1-配当税率)×配当利回り+(1-キャピタルゲイン税率)×キャピタルゲイン
むしろ、株主全体の平均と比べて配当にかかる税負担が軽い低所得者にとっては、高配当株(トータルリターンに占める配当の割合が大きい)のほうが相対的に高リターンが期待できるんじゃないかなと私は考えています。
過去記事:高配当株投資は低所得者にとっては有利に思える
米国株の場合、米国人と日本人ではどちらが有利なのか
Wikipediaによると、米国人の最高限界配当税率と最高限界キャピタルゲイン税率は28.6%だそうです。一方、日本人が米国株に投資する場合、キャピタルゲイン税率は一律20.315%、配当税率は米国で10%の現地源泉税を引かれたあと国内で20.315%の源泉税が引かれるため、分離課税では28.2835%となります。
米国の最高限界配当税率(28.6%)と日本の分離課税(28.2835%)はほとんど同じですね。
ただし、外国税額控除がフルに使える高所得者の場合は10%の現地源泉税が還付されるため、還付後の実質的な税率は
⇒コメント欄でご指摘いただいたのですが、現地課税は経費にできないので20.315%になるそうです。
(私は外国税額控除をまだやったことがないので間違っているかもしれません。)
私のように所得税率が5%の低所得者の場合は、「所得税は総合課税、住民税は申告不要」という課税方式を選ぶことで、米国で10%の現地源泉税、国内で10%(総合課税5%+住民税5%)になるので、実質的な税率は19%となります。
(こちらは外国税額控除がよく分からないので無視しています。)
ということで、少なくとも米国の最高限界税率と比べると、日本の配当税率のほうが低くなります。
ただし、米国は最高限界税率だけしか分からないので、一般的な人ではどれくらいの税率なのか不明ですし、無分配型の投資信託や401kみたいな非課税の口座で保有されている株式もかなりあると思います。
株主全体で見たときの平均税率がどれくらいになるのかは全然想像がつきませんが、日本人が米国株に投資するのは配当課税的にはそれほど悪くはないんじゃないかなという気がしています。
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確定申告では現地課税分を経費にできないので、外国税額控除で全額返ってきた場合の税率は20.315%になるはずです。
返信削除コメントありがとうございます。
削除現地課税分は経費にできないんですね。