通常、暴落するときはバリュエーションに関わらずシクリカルなものほど大きく下げるはずです。
割高ディフェンシブと割安ディフェンシブなら割安ディフェンシブ、割高シクリカルと割安シクリカルなら割安シクリカルのほうが下落率が小さく済むかもしれませんが、割高ディフェンシブと割安シクリカルなら割高ディフェンシブのほうが下げないと思います。
個別国の場合でも、たとえば高CAPEの米国・スイス等と低CAPEのロシア・トルコ・ナイジェリア※等を比べた場合、低CAPEのロシアやトルコのほうが短期的には大きく下げるんじゃないかなと思っています。
※ナイジェリアのCAPEレシオはどこにも載っていないと思いますが、構成銘柄のCAPEレシオを大雑把に計算してみた感じでは多分ロシア並みに低いです。
過去記事:NGE(グローバルX MSCIナイジェリアETF)構成銘柄のPERとCAPEレシオ
ですが、ロシア・トルコ・ナイジェリアはCAPEレシオが1桁と既にかなり安く、ここから更に株価が暴落したらとんでもない激安CAPEになってしまいます。
多くの国ではCAPEレシオが1桁の場合はその後10年間の実質トータルリターンが年率10%超となっており、CAPE5以下ともなればかなり高いリターンが期待できそうです。
過去記事:世界各国のCAPEレシオとその後10年間の実質トータルリターン
過去記事:世界各国のCAPEレシオ(シラーPER)が見られる3サイト
各国のCAPEレシオ最大値、平均値、中央値、最小値
Shiller Barclays CAPE Indicesに載っている月次データ(1981年12月~2019年12月)をもとに、各国のCAPEレシオの最大値、平均値、中央値、最小値を表にまとめました。(表は過去最小値の昇順です。)
CAPEレシオの最小値をグラフ化すると以下のようになります。
低い国はロシア(4.97)、オランダ(6.30)、トルコ(7.23)、カナダ(7.36)、イタリア(7.71)…となっています。
なお、これは1981年12月末以降のデータですが、米国(S&P500)は1871年以降だと最小値は1920年12月の4.78になります。
(ちなみに1920年12月から10年間の実質株価リターンは年率8.6%でした。その間の平均配当利回りは5.3%だったので、実質トータルリターンは年率14%くらいだと思われます。)
出典:multpl.com |
米国のCAPEレシオ史上最小値が4台ということは、もっと脆弱な国ではさらに3、2と下がっていく可能性もありそうです。
過去2回のバブル期のCAPEレシオ
過去2回のバブル期のCAPEレシオは下表のようになっています。表は現在値(2020年1月末時点)の昇順です。ITバブルの頃はデータがない国が多いですが、過去2回のバブル期には一番CAPEレシオが低い国でも20超とかなり高い水準にありました。今では低CAPEが定着しているロシアやトルコでさえもリーマンショック前は25超だったんですよね。
(ちなみにロシアはリーマンショックで約80%下落しているのですが、当時はかなり割高だったので、現在の水準からはそこまで落ちないんじゃないかなと楽観しています。)
現在は一番高い米国でさえ30程度(2/28時点では28.05)、低いロシアとトルコは1桁です。ここからたとえばリーマンショック並みの大暴落が起きたらかなりお買い得に思えます。
米国の下落相場のCAPEレシオ(シラーPER)とPER
最後に、1950年以降のS&P500の下落相場※のドローダウンとPER・CAPEレシオ(シラーPER)の変化率をまとめた表を見つけたので貼っておきます。出典:Økonomisk Ugebrev |
1980年11月→1982年8月にはPER9.2、CAPEレシオ9.7とかなり割安に見える水準から株価は名目で20%、実質で30%下落し、PERは13%縮小の8.0、CAPEレシオは31%縮小の6.6になっています。
当時は高インフレ抑制のためにポール・ボルカーFRB議長がFF金利を20%まで引き上げ、長期金利が15%超まで上昇するという資産価格にとって強い逆風が吹いていた時代でした。低金利が常態化している今とは全然状況が違いますが、低CAPE、低PERだから下落が小さいという訳でもなさそうです。
次の暴落がきたらどうなるのか興味深いです。
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