過去記事:先進国各国の実質GDP成長率と実質EPS成長率を比べてみる
この記事では期間が1969年~2015年だったので、今回は米国の実質GDPとS&P500の実質EPSをmultpl.comの1929年以降のデータを使ってもっと長い期間で比べてみました。
実質EPSと実質GDP(1929年12月~2019年9月)
まずは1929年12月~2019年9月のS&P500の実質EPSを左軸に、米国の実質GDPを右軸にグラフを作ってみました。自社株買いの分だけ実質EPS成長率のほうが高くなりそうに思えますが、この期間では逆になっています。
ただし、EPSはブレが大きいのでどこに区切るかによってかなり大きな差が出ると思います。
実質EPSと実質GDP(1946年12月=100)
たとえば四半期毎のデータがある1946年12月を100とした場合は以下のようになります。年率成長率は実質EPSが3.29%、実質GDPが3.11%でほぼ同じです。20年ローリング成長率の比較
20年ローリングの年率成長率も作ってみました。昔は実質GDP成長率>実質EPS成長率の時期が多いですが、最近はリーマンショック時の一時的な落ち込みを除くと自社株買いの影響なのか逆転しています。直近の20年間では実質GDP成長率が3.50%であったのに対して、EPS成長率は年率5.84%となっています。
S&P500の1999年以降の「増資-自社株買い」の推移は2004年頃からマイナスになっているので、それ以前はネットではS&P500の発行済株式数は増加傾向で、純利益成長率>EPS成長率だったんでしょうか。
出典:Yardeni Research, Inc |
ちなみに配当利回り、自社株買い利回り、株主還元利回りの 推移は以下のようになっています。
出典:Yardeni Research, Inc |
また、S&P500の売上の4割は米国外からきています。GDPは国内で生み出された付加価値の合計なので、S&P500のEPS成長率が長期にわたって米国のGDP成長率よりも高くなってもおかしくはないと思います。
GNP(国民総生産)でも非上場企業を多く含んでいるので、上場企業のみで構成される株価指数のEPS成長率とは同じにならないはずです。特に新興国はエネルギーや素材など世界の景気循環に左右されやすいセクターが多くを占めている国が多い印象があります。
ネットの自社株買い、海外売上比率、非上場企業の多さなど様々な要因によって違う場合も割とありそうですが、長い目でみればGDPが高成長の国はたぶんEPSも高成長になると思います。
ということで私は相対的に高いGDP成長が期待でき、バリュエーションも低い新興国・フロンティア国に引き続き強気です。なかでも特に高い人口成長と世界最低水準のPERのナイジェリアを選好しています。
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