無制限QEでゴールドが魅力的に思えるが…


FEDは新型コロナウイルスへの対応として無制限のQEを行うと発表しました。

日銀のバランスシートがGDP比100%超に対してFEDはまだ20%超なのでしばらくは問題ないんじゃないかなと素人感覚では思うのですが、実際のところはあとどれくらい緩和余地が残っているんでしょうか…

米国が無制限QEとなればゴールドが魅力的に思えます。ゴールドは通常、米国の実質金利と強い逆相関の関係にあります。
(過去のQEとQTを見てみると、長期金利はQE期間中に上昇してQT期間中に低下しているので、今回もQE終了まで上昇するかもしれませんが。)
 過去記事:長期金利はQE(量的緩和)期間中に上昇、QT(量的引き締め)期間中に低下している

また、今まではQEでインフレ率は大して上がりませんでしたが、金融緩和+財政拡大でMMTみたいなことになると高インフレになる可能性もありそうです。レイ・ダリオの"Cash is Trash"シナリオになるかもしれません。

1900~2011年のインフレ感応度は株式が-0.52、債券が-0.74、Tビルが-0.62、ゴールドが0.26、住宅が-0.20となっており、プラスはゴールドだけです。株式はインフレに強い資産だと言われたりもしますが、それは長期的な話で、短期的にみると高インフレ下ではパフォーマンスが悪くなります。株式もやはり低インフレ下のほうが強いです。
 過去記事:インフレヘッジとしては株式や短期債よりもゴールドが有効


ですが、個人的にはゴールドは利息を生まないのであまり好きにはなれません。超長期的にみればゴールドはインフレと同じ上昇率になり、インフレ調整後の実質リターンはゼロになるはずですが、安いのか高いのかよく分からないので買いにくいです。

以前、金銀比価が歴史的な高値になっているのでシルバーは割安かもという記事を書きましたが、そもそもゴールド価格が妥当なのかが分からないのでシルバー価格がどうなのかもよく分かりません。
 過去記事:金銀比価とシルバー版オールシーズンズ・ポートフォリオ

ビットコインブームのときに「ゴールドは人類史のなかで最も長く続くバブルだ」みたいな話をどこかで目にした記憶があります。債券は40年間も強気相場が続いており完全なバブルに思えますが、ゴールドは何千年も続くバブルで、もしかするとこれもいつか弾けるかもしれませんし、結局は私は株式が好きです。
(少なくとも私が生きている間にゴールドのバブルが弾けるとは思っていませんが。)
 過去記事:現金はゴミ、債券はバブル、ゴールドは利息を生まない、なので割高な株式を買う

なのでゴールドが上昇するとしたらゴールドよりも金鉱株を買いたいですが、金鉱株も私はいまいち理解していないので今が割安なのかどうかが判断できません。

GDX(ヴァンエック・ベクトル金鉱株ETF)とIAU(iシェアーズ ゴールド・トラスト)のパフォーマンスを比べてみるとGDXはゴールド価格に比べてかなり出遅れているので安いようにも思えますが、ETF.comによるとGDXはPER73.96、PBR1.90、配当利回り0.92%となっています。
(小型金鉱株ETFのGDXJ(ヴァンエック・ベクトル中小型金鉱株ETF)はさらに出遅れており、PER-114.27、PBR1.61、配当利回り0.64%です。)
出典:Portfolio Visualizer

先日のバロンズでは、大手金鉱会社はコストを度外視して生産を増やすのではなく、フリーキャッシュフローを増やすことに焦点を当てており、PERでは割安には見えないが税引き前の年間キャッシュフローに基づくと割安だという記事がありました。
バリックとニューモントの予想株価収益率(PER)は25前後で、割安には見えないかもしれない。しかしフォスター氏は、別の指標である税引き前の年間キャッシュフローに基づいて金鉱会社を評価している。同氏によると、税引き前キャッシュフローの7~8倍で、過去平均の11倍と比べて割安だ。
金鉱会社は「オプション」も提供する。その意味するところは、金価格の上昇の倍数で収益が増加するということだ。世界中で金融リスクが増大し、金利が低下している今、金は投資家のポートフォリオに居場所を見つける時だろう。
引用:バロンズ・ダイジェスト
MorningstarではGDXのPrice/Cash Flowは10.43、GDXJは7.74となっています。

個別金鉱株はよく分からないのでインフレヘッジとしてGDXかGDXJを買ってみてもいいかなと思えてきました。


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コメント

  1. こんにちは

    私は利子や利息というものが、どうも分からないのですが、
    少なくともマネーが発明されたよりも大分後になって普及した制度だと思います。

    配当金が出ても、株価が下がっては意味がないようにも思います。
    例えば含み損がある持ち株から配当金が出ても、その配当金に課税されますので、
    無配当にして企業価値を高めた方が、理屈では含み損が消えやすいと思ったりもするのですが・・・

    つまり配当金収入だけで生活できる水準になれば、配当金は定収みたいになりますが、
    それ以下の場合、値下がりを恐れるから配当を欲しがるのかな、と思います。

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    1. 私は利子の歴史について勉強したことがないので適当ですが、物々交換だとしても来年木の実11個もらうよりは今日10個もらったほうがいいみたいな感覚は昔からあったんじゃないかなという気がするので、たぶん貨幣よりも利子のほうが先なんじゃないでしょうか。
      (仮にインフレ率がゼロで来年確実にもらえることが分かっていたとしてもすぐにもらえるのを大半の人は好むと思うので。)

      投資信託の分配金と違って個別銘柄の配当については「配当を出したら課税されるので無配当にしたら有利」というのは一概には言えないと思います。
      ROE<株主資本コスト(期待リターン)の場合は配当を出したほうが株価は上昇しますし、ROE>株主資本コストの場合は逆になりますが、資本がそれほど要らないビジネスの場合は内部留保×ROEで成長する訳でもないと思うので、余った分はやはり配当すべきだと思います。

      配当よりも自社株買いのほうが課税されない分有利というのはありますが、配当は既存株主のみが恩恵を受けるのに対して、自社株買いはストックオプション保有者等の潜在株主も恩恵を受けるというデメリットもあります。
      また、低所得者の場合は総合課税を選択すると譲渡益税よりも配当課税のほうが低税率になるので有利なんじゃないかなとも思います。
      https://ronaldread.blogspot.com/2019/08/low-income-investor-dividend.html

      配当だと株価が割高に思えるときは別の銘柄に再投資することもできますし、一般的に言われているほど悪くはないと思っています。

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