高度な文明をもつ宇宙人が地球に攻め込んでくる話なのですが、宇宙人が到着するのは約450年後なので、世紀末みたいな世界にはならずに地球人は割と普通に生活しています。
45年後だったら若い人にとっては他人事ではないので不安になる人もかなり出そうですが、450年後だったらみんな死んでいますし、自分の子供や孫、曾孫も直接的には影響しないので現実にそうなったとしても多くの人は普通に生きていけそうな気がします。
たぶん心理的にはそれほど甚大な影響はないんじゃないかなと思いますが、株価にはどれくらいの影響があるでしょうか。
今回は450年後に地球文明が滅亡することが突如として明らかになった場合、株価はどれくらい下がるのかを計算してみました。
DCF法では遠い将来の利益は無視できるほど小さい
DCF法は企業が将来的に生み出すキャッシュフローを割引率で割り引くことで企業価値を算出します。たとえば1年後のEPSを100、割引率を10%、成長率を4%として現在価値を計算すると下表のようになります。
※米国株の名目期待リターン10%、名目成長率≒名目GDP成長率4%のイメージです。n年後の現価係数は1/(1+割引率)^n、n年後の現在価値=n年後のEPS×n年後の現価係数、TV(Terminal Value:永続価値)=最終年の翌年のEPS/(割引率-成長率)
過去記事:DCF法と株式の価値
DCF法では遠い将来の利益の割引現在価値はとても小さくなってしまうため、今回の計算では1年後の利益の価値が全体の5.5%を占めるのに対して、31年以降の利益の価値は18.6%にとどまります。
これを450年に引き伸ばしてグラフを作ると以下のようになります。
対数グラフにするとこうなります。
1年後の利益の現在価値は株価の5.45%を占めますが、2年後は5.16%、3年後は4.88%・・・と下がっていき、451年以降の利益の価値はわずか0.000000001%です。
450年間平穏無事に成長し続けたあと、451年目に突如として宇宙人に侵略されて文明が崩壊するとしても、株価は理論的には0.000000001%しか下がらないということになります。
宇宙人が侵略してくるのがもっと早かった場合、もし101年目だとしたら0.37%、51年目だとしたら6.1%下がるということになります。
割引率や成長率の設定によって結果はまた違ってきますが、株価は思いのほか近視眼的です。
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