このところのS&P500の高リターンを牽引しているのはFAAMG(FB、AAPL、AMZN、MSFT、GOOGL)で、この5銘柄を除外したS&P495(Deadweight 495)のリターンは良くない、という話をよく耳にします。
ほんの少数の銘柄が指数を押し上げているのは不健全だというニュアンスでこの話が持ち出されることが多い気がしますが、前に読んだバロンズの記事によると「1926年以降の米国株式市場における全ての投資の投資リターンは、パフォーマンス上位4%の銘柄によるもの」だったそうなので、FAAMG以外が大して上昇していないのは別に異常なことではないように思えます。
株式のリターン分布は左右対称の正規分布ではなく、プラス寄りに大きく歪んでいるものです。
たとえば、1990~2018年のグローバル株式(米国と米国外)約62,000銘柄のリターン分布は以下のようになっています。
過去記事:【リターン分布の歪み】ほとんどの銘柄は市場平均を下回る
出典:Alpha Architect |
グローバル株の投資リターンはパフォーマンス上位1.33%(811銘柄)によるもので、米国短期国債(1カ月物)をアウトパフォームしたのは僅か40.5%(米国では43.7%、米国外では39.3%)しかないそうです。
ただし、リターン分布の歪みは小型株ほど大きいものだそうなので、大型株で構成されるS&P500でFAAMGに集中しているのはたしかに少し異常なことなのかもしれません。
ちなみにフォーチュン500の中からランダムに5銘柄×10組を選んで猿のダーツ投げをやってみたときは割と好パフォーマンスでした。
稲妻が走る瞬間
株式市場には「稲妻が走る瞬間(突然大幅上昇する日)」があり、これを逃すとパフォーマンスが大幅に悪くなるので市場に居続けるべき、という話は有名ですが、これもFAAMGを除外したS&P495のリターンが良くないというのと同じで当たり前では?と思ってしまいます。
下表はS&P500の日次変動率の上昇率上位10日と下落率上位10日です。
出典:Wikipedia |
株式市場には大幅上昇する日がある一方で大幅下落する日もあります。
S&P500の日次変動率は先ほどのグラフと違って正規分布になるはずで、そうすると相場から逃げている間に大幅上昇を逃す可能性と同様に大幅下落を回避する可能性もあるため、稲妻が市場に居続けるべき理由にはならなさそうな気がします。
私が脳死ホールド派なのは稲妻が走る瞬間を逃すのが怖いからではなく、長期的に見ればほぼいつ買ってもインフレ控除後でプラス(だと思っている)だからです。
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