私は低所得者にとってはキャピタルゲイン税率よりも配当税率のほうが低くなるので高配当株のほうがむしろ有利なのでは?という立場ですが、普通は自社株買いのほうが良いと思います。
(あとは自社株買いはストックオプション保有者など潜在株主にも恩恵があるのに対して、配当は既存株主のみという点で優れているというものもあります。)
過去記事:高配当株投資は低所得者にとっては有利に思える
過去記事:配当か自社株買いか
自社株買いは景気連動
自社株買いは税制的には有利に思えますが、好況期に積極的に行われる一方で不況期には大幅に縮小する傾向があります。下図はS&P500の自社株買いと配当の推移です。配当は不況期にもそれほど減らない代わりに好況時に大幅に増えることもありませんが、自社株買いは景気(株価)と連動して激しく変動しています。
出典:Yardeni Research, Inc. |
セクター別の配当と自社株買いの推移
セクター別の配当推移を見てみると、金融や資本財、素材、エネルギー等はそれなりに変動していますが、多くのセクターは安定的に増加しており、特に公益と生活必需品はセクター全体がほとんど連続増配みたいな感じになっています。出典:Yardeni Research, Inc. |
一方、セクター別の自社株買い推移はどれも変動が激しく、最も安定感のある生活必需品でも割と変動しています。
出典:Yardeni Research, Inc. |
特にエネルギーセクターはコモディティバブル時の株価が高かったときに多額の自社株買いを行っています。
出典:MSCI |
自社株買いはフェアバリューよりも安い株価で行われれば株主価値を高めますが、割高な株価では反対に株主価値を毀損してしまいます。
あとから振り返ってみるとエネルギーセクターの2007-2008年の自社株買いは株主価値を毀損するものだったといえそうです。
理論的にはフェアバリューより安ければ自社株買い、高ければ配当すべきですが、フェアバリューが幾らというのははっきりと分からないのでその時点の自社株買いが適切なのか否かはよく分からないものだと思います。
ですが、特にシクリカルなセクターでは業績が良いときに多額の自社株買いが行われ、業績が悪いときにはほとんど無くなる傾向があるので、自社株買いよりも特別配当で還元してもらったほうが良さそうな気がします。
そもそも配当・自社株買いに関わらず、資本コストを上回る投資機会があれば株主還元よりも内部留保すべきです。
なので連続増配株も投資機会に関わらず毎年配当を増やすことに縛られるという意味で最良の配当政策ではないと言えます。縛られることで規律が生まれるというメリットも大きそうですし、私は安定的に配当が入ってくるのが好きなので嬉しいですが。
(特に最近のエネルギー株みたいに将来のための設備投資を削って無理やり配当を維持するのは良くない気がします。)
理想的には良い投資機会があれば内部留保、無くて株価が安ければ自社株買い、高ければ配当というのが一番だと思いますが、それを上手くやるのは難しいので結局は配当と自社株買いがどちらもバランスよく行われているのが一番なんだろうなと改めて思いました。
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