ROICは「NOPAT(税引き後営業利益)÷投下資本」で計算されますが、これは既に投資された資本に対してどのくらいのリターンを生み出したのかということしか分かりません。
実際にはこれから投資した金額に対してどれくらいのリターンを生み出すのか、ということのほうが重要なので、それを測るための指標としてROIICがあります。"return on incremental invested capital"の略で、「今期のNOPAT-前期のNOPAT)÷前期の投資額」で計算されます。
過去記事:【資本を食う豚】ROIICとPER
※正確な計算例は下記リンクを参照ください。
参考:Exhibit 99. McDonald’s Corporation One-year Return on Incremental Invested Capital (ROIIC)
高ROIC銘柄のROIICを簡易計算してみる
適当に選んだ高ROIC銘柄とFAANGM、BABAのROIICをMorningstarのデータを使って簡易計算してみました。分子のNOPAT増分=今期のNOPAT-前期のNOPATはそのままで良いとして、分母の投資額は計算するのが大変そうなのでMorningstarの前期のCAPEXを使いました。
※DPZ、VRSN、HD、PMのROICはMorninstarのデータがなかったのでgurufocusから拾いました。
マイナスと極端に高い数値になっているものを除外してグラフで比較すると以下のようになります。
AAPLやGOOGLは割と近い数字ですが、他は結構な差がありますね。
実際にはROIC>ROIICとなる場合が多いと思いますが、これは分母にCAPEXを使っているためかROIICのほうが高くなっている銘柄が割とあります。
PMのように営業利益が成長しなくなった場合はROIICがマイナスになるので使えませんし、NTFXのように高成長かつ営業利益率が急上昇している場合はNOPAT増分が非常に大きくなるのでROIICは極端に高い数値になり、普通にROICを使ったほうが良さそうです。
FBは2018年→2019年ではNOPAT増分がマイナスなので計算できませんが、2016年→2019年でみると、NOPAT増分が7,727 USD Mil、CAPEXが25,139USD Milで、ROIICは30.74%となります。
極端に低いHDは2017年→2020年でみると、NOPAT増分が3,551 USD Mil、CAPEXが5,960 USD Milで、ROIICは59.58%となります。
ROICと違って期間によってかなり差が出そうですし、正確に分母を計算するのが面倒そうですが、考え方としては好きな指標です。
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