バロンズによると米国の配当金の実効税率は40%らしい


バロンズ・ダイジェストによると、現在の米国の配当金の実効税率(法人レベルと個人レベルでの二重課税を考慮に入れたもの)は40%で、バイデン政権はこれを60%まで引き上げようとしているそうです。

バイデン政権の計画に基づくと、年間100万ドル以上の所得がある投資家には、配当金とキャピタルゲインに対して総合で43.4%の連邦税率が課せられる可能性がある。キャピタルゲインに対する税率が30%超となるのは1978年以来だ。ストラテガスの調査チームは、キャピタルゲインに対する税率の引き上げにより、利益を現金化する投資家が減るだろう、と付け加えている。

バイデン政権の計画では、配当金の実効税率を40%から60%に引き上げる(配当金に対する法人レベルと個人レベルでの二重課税を考慮に入れている)。2003年の減税により連邦実効税率が60%から45%に引き下げられて以来、25年間にわたって減少していた配当金を支払う企業の数が増加に転じている。

ストラテガスの調査チームは、株主還元策としてより節税効果の高い自社株買いについて、バイデン氏が上院議員時代から批判的であった、と指摘する。新政権は自社株買いに関する規則を厳格化し、より多くの情報開示と株主の承認を求めることになるかもしれない。

引用:バロンズ・ダイジェスト

ちなみにTCJA(2017年税制改革法)により法人税率が35%→21%に引き下げられたことでS&P500企業の実効税率は2017年24.4%→2018年17.7%に低下したそうです。


ということは、日本の個人投資家が米国株の配当を受け取る場合、2018年のS&P500法人実効税率をもとにすると、個人・法人の二重課税(現地源泉税を加えると実質は三重課税ですが)を考慮した配当金の実効税率は


1-(1-0.177)×(1-0.1)×(1-0.20315)=40.98%


となり、現在の米国よりとほぼ同じです。


もし米国の実効税率が今の40%から60%に引き上げられるとしたら、法人税増税分は21%→28%の7ポイント程度なので、大部分は個人レベルでの増税になるのではと思います。


であれば増税後は米国人よりも日本人のほうが実効税率が低い、ということになりそうです。


当ブログでは何度か書いているのですが、私は配当課税やキャピタルゲイン税は株価に織り込まれていると思っており、配当課税があるから高配当株よりも無配株のほうが有利みたいなことは基本的にはないんじゃないかなと思っています。


むしろ平均的な実効税率よりも自分の税率のほうが低ければ高配当株のほうが有利だと考えています。

 過去記事:米国株の配当課税について

 過去記事:高配当株投資は低所得者にとっては有利に思える


この考え方からすると、日本の個人投資家にとっては、米国の法人税増税は純粋に将来受け取る配当金が減るのでマイナスですが、個人レベルでの配当課税増税は短期的には株価が下がるものの受け取る配当金が減る訳ではなく、逆に割安に買い増しができるので長期的にはプラスだといえます。


ただ、バロンズ・ダイジェストの記事にもあるように過去の配当課税減税が配当金を支払う企業の増加につながっていたとすると、配当課税増税は反対の動きになりそうですし、同時に自社株買い規制も強化されるとするとこの先はどうなるのかよく分かりませんね。




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