米国株(S&P500)の10年・20年・30年・40年・50年・60年ローリング実質リターン


以前、Damodaran Onlineの1928~2018年のデータから過去40年間の米国株と米国債のローリングリターンを調べてみたことがあります。

 過去記事:米国株と米国債(短期債・長期債)の40年ローリング・実質トータルリターン


今回はmultpl.comの1871年1月~2020年2月のデータを使って、米国株(S&P500)の10年・20年・30年・40年・50年・60年のローリング・実質トータルリターンを計算してみました。



なお、計算方法は

  • S&P500の実質株価の年率騰落率+当該期間の平均配当利回り

で計算しており、下記記事でもこの方法を使っていますが大体は正しい数値になっていると思います。

 過去記事:【長期金利と株式リターン】良い金利上昇と悪い金利上昇

10年ローリング実質リターン

まずは10年です。

最小値は-5.83%、中央値は6.65%、平均値は6.67%、最大値は19.10%、現在は11.25%で、82.9パーセンタイルに位置しています。


これで見るとかなり過熱感があるような感じがしますね。

20年ローリング実質リターン

次は20年です。

最小値は-0.08%、中央値は6.54%、平均値は6.46%、最大値は13.26%、現在は5.32%で、33.5パーセンタイルに位置しています。


今の20年前はITバブル後でかなり割高だった時期なので、20年ローリングはかなり低くなっています。


そして保有期間が20年間になると実質ベースでほぼ損失が出ないようになってきます。

30年ローリング実質リターン

30年です。

最小値は1.92%、中央値は6.51%、平均値は6.46%、最大値は10.79%、現在は7.80%で、76.8パーセンタイルに位置しています。

40年ローリング実質リターン

40年です。

最小値は3.15%、中央値は6.25%、平均値は6.33%、最大値は9.92%、現在は8.43%で、91.8パーセンタイルに位置しています。

50年ローリング実質リターン

50年です。

最小値は4.20%、中央値は6.13%、平均値は6.34%、最大値は9.17%、現在は6.48%で58.8パーセンタイルに位置しています。

60年ローリング実質リターン

最後は60年です。

最小値は4.85%、中央値は6.52%、平均値は6.47%、最大値は8.31%、現在は6.19%で31.1パーセンタイルに位置しています。


保有期間が60年になると4.85%~8.31%とかなり収束してきますね。


経済学者アーヴィング・フィッシャーが有名な「株価は恒久的に高い高原のようなものに到達した」と予言した1929年10月にS&P500を買った場合も、60年放置すれば年率5.60%と十分なリターンが得られていたことになります。

(ちなみに一番ひどい4.85%は1889年6月~1949年6月です。)

まとめ

以上を表にまとめてみました。


最小値中央値平均値最大値現在百分位
10年-5.83%6.65%6.67%19.10%11.25%82.9%
20年-0.08%6.54%6.46%13.26%5.32%33.5%
30年1.92%6.51%6.46%10.79%7.80%76.8%
40年3.15%6.25%6.33%9.92%8.43%91.8%
50年4.20%6.13%6.34%9.17%6.48%58.8%
60年4.85%6.52%6.47%8.31%6.19%31.1%


グラフ化すると以下のようになります。

10年、30年、40年ローリングで見るとかなり高いので、よくある「金融緩和でリターンを先食いしてしまっているので今後はあまりリターンを望めない」みたいな話がもっともらしく感じられます。


しかし、過去と比べて低い20年、60年ローリングを見ると、反対にまだ上昇余地がありそうなようにも思えます。


個人的には10年とかのスパンで見れば金融緩和によって押し上げられている高いバリュエーションが調整するぶん低リターンになるのではと思っていますが、もっと長い20年超でみるとそれなりに満足できるリターンが得られるのではと楽観しています。




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