新興国に投資する際にはその国のカントリーリスクに十分留意する必要があります。
たとえば、アスワス・ダモダラン教授によるカントリーリスクプレミアム(2021年7月時点)は以下のようになっています。
前にも同じようなことを書いたのですが、このカントリーリスクプレミアムを見ると中国は日本と同じ0.59%となっており、直感的に中国株に対して感じるカントリーリスクと比べると非常に低くなっています。
過去記事:
カントリーリスクを見積もるのは難しいと改めて思った
これは対象国のデフォルト・スプレッドに調整係数※(2021年7月時点では一律1.02)をかけて計算されているためです。
※デフォルト・スプレッドは債券に対してのプレミアムなので、債券よりもボラティリティが高い株式に対してのプレミアムを計算するために調整を加える必要があります。
| Rating-based Default Spread | Country Risk Premium |
| パキスタン | 5.37% | 5.46% |
| ナイジェリア | 4.55% | 4.62% |
| トルコ | 4.55% | 4.62% |
| ギリシャ | 2.97% | 3.02% |
| ブラジル | 2.48% | 2.52% |
| 南アフリカ | 2.48% | 2.52% |
| ロシア | 1.82% | 1.85% |
| イタリア | 1.82% | 1.85% |
| ハンガリー | 1.82% | 1.85% |
| ポルトガル | 1.82% | 1.85% |
| インド | 1.82% | 1.85% |
| インドネシア | 1.57% | 1.60% |
| フィリピン | 1.57% | 1.60% |
| スペイン | 1.32% | 1.34% |
| タイ | 1.32% | 1.34% |
| メキシコ | 1.32% | 1.34% |
| マレーシア | 0.99% | 1.01% |
| アイルランド | 0.70% | 0.71% |
| ポーランド | 0.70% | 0.71% |
| イスラエル | 0.58% | 0.59% |
| 中国 | 0.58% | 0.59% |
| 日本 | 0.58% | 0.59% |
| チェコ | 0.50% | 0.51% |
| ベルギー | 0.50% | 0.51% |
| 台湾 | 0.50% | 0.51% |
| 香港 | 0.50% | 0.51% |
| 英国 | 0.50% | 0.51% |
| フランス | 0.41% | 0.42% |
| 韓国 | 0.41% | 0.42% |
| オーストリア | 0.33% | 0.33% |
| フィンランド | 0.33% | 0.33% |
| オーストラリア | 0.00% | 0.00% |
| オランダ | 0.00% | 0.00% |
| カナダ | 0.00% | 0.00% |
| シンガポール | 0.00% | 0.00% |
| スイス | 0.00% | 0.00% |
| スウェーデン | 0.00% | 0.00% |
| デンマーク | 0.00% | 0.00% |
| ドイツ | 0.00% | 0.00% |
| ニュージーランド | 0.00% | 0.00% |
| ノルウェー | 0.00% | 0.00% |
| 米国 | 0.00% | 0.00% |
中国国債はたしかに低リスクかもしれませんが、中国株は今回の教育産業のように習近平の一声で崩壊寸前に追い込まれる可能性があることを踏まえると、デフォルト・スプレッドに1.02をかけた数字が中国株のカントリーリスクプレミアムとして適切とはいえないと思います。
習近平リスクを考慮すると、中国株に投資する際には一見割安だと思っても、唐突にほぼ無価値になる可能性を踏まえてさらにかなり大きめに割り引いて考えておきたいと改めて感じています。
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