シーゲル教授の有名なチャートでは、ゴールドの約200年間の実質リターンは0.6%と非常に低いです。
コモディティ全般として見た場合でも、超長期でみれば物価指数と同様の上昇となるはずなので、実質リターンはほぼゼロ、保有コストを考慮するとマイナスになり、投資対象としては不要という風に昔は考えていました。
しかし個々のコモディティを一人の人間が生きている数十年くらいのスパンで見ると、需給によって上昇し続けていたり、下落し続けていたりするものもあります。
コモディティの実質価格上昇率
以前、当ブログで紹介したデータでは、1975〜2015年の40年間の実質年率上昇率はゴールドが+1.80%、炭酸カリウムが+1.63%、石油が+1.51%、天然ガスが+1.47%に対して、豚肉が-2.81%、ピーナッツが-2.48%、綿が-2.48%、ボーキサイトが-2.42%とかなり差があります。貴金属や需要が伸びた資源が上昇している一方、ラム肉を除く食料はほとんど下落しています。
過去記事:コモディティ価格の長期推移
コモディティ価格は生産効率が高まって安価に大量生産できるようになることで長期にわたって大幅に下落することもあれば、需要が伸び続けた石油や天然ガスみたいに上昇し続けたりすることもあります。
(アルミニウムは安価な製造方法が確立するまでは非常に貴重な金属でゴールドよりも高いこともあったようですが、現代では1円硬貨に使えるくらい安い金属になっています。)
ゴールドは長期では実質リターンはゼロなのではと思っていましたが、米ドルの金兌換停止が発表されたニクソン・ショック以降はインフレを大幅に上回っています。
供給量が限定されているなか、金兌換が停止されたことでSoV(価値の保存手段)としての需要が伸びたので高い実質リターンを生んできたと理解していますが、金融緩和依存はさらに強まっていきそうに思えるので今後も需要はさらに伸び、インフレを上回る上昇を続けるということも十分に考えられそうな気がします。
イギリスの宅地の実質価格は長期で上昇し続けている
そんなことを考えながら、ふと土地の価格って長期ではどのように推移してきたんだろうと疑問に思い調べてみると、下のチャートを見つけました。イギリスの住宅と宅地の実質(インフレ調整後)価格です。
出典:CIVITAS |
オイルショック、ITバブル崩壊、リーマンショックで暴落を挟みつつも右肩上がりとなっており、1970年=100とした指数は2016年では宅地が約1,000、住宅が約350くらいまで上昇しています。年率換算では宅地が5.1%、住宅が2.8%くらいです。地主強いですね…
近年の土地価格高騰は、1947年に制定された都市農村計画法(Town and Country Planning Act 1947)によって開発権が国有化されたことが大きいようです。
(そういえば韓国も高騰する住宅価格を抑制する目的で規制を強化したり税率を引き上げたりしたところ、期待とは逆に許認可が減った上に住宅を手放す人が減って余計に価格高騰しているそうです。)
人口減少の日本も主要都市ごとの最高価格推移をみると、東京だけは2017年時点で既にバブル期を上回っており、長い目でみると実質ベースで右肩上がりです。
(1985年→2017年で物価指数は1.18倍程度なので、10百万/㎡→50百万/㎡とするとインフレ調整後上昇率はだいたい4.6%程度だと思われます。)
出典:日本生命 |
日本の場合は東京でさえも近いうちに人口減少に転じるとされているのでどうなるかはよく分かりませんが、どこの国でも土地は有限で誰かが売らないと供給がないので、特に需要が落ちない都市部の一等地は長期にわたってインフレ率を上回る上昇を続けそうな気がします。
供給量が限定されていて需要が伸びそうなものを保有したい
すべてのものの価格上昇率が長期的にはインフレ率と同じになるという訳ではなく、価格は需給によって決まるのでインフレを上回って上昇し続けるものもあれば、インフレを下回り続けるものもあるはずです。
結局は一等地の地主が最強ということになりますが、一般庶民にはなかなか手が出せないので、供給量が限定されていて需要な伸びそうなものということならやはりゴールドが手堅いと思います。
不換紙幣は大量に供給されるものの、大半のものは生産技術向上で相殺されるのでインフレは大して起こらず、株式や債券のほかは供給量が限定されたゴールドや宅地等が上昇していくみたいなイメージがあります。
個人的には供給が厳密に限定されておりまだまだ需要が伸びそうなビットコインに強気ですが、ある程度資産規模が大きくなったら将来的にはゴールドも保有したいと考えています。
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