高インフレ下のS&P500(1960年代、1970年代、1980年代)


以前、米国のインフレ率と株式の実質リターンについて調べてみたところ、低インフレのほうが株式にとっては有利とはいえ、高インフレ下でも案外それほど悪くもないのでは、という記事を書きました。

 過去記事:【米国のインフレ率と株式リターン】高インフレ下の株式も案外悪くないかもしれない


今回はそのなかでも特にインフレ率の高い1960年代、1970年代、1980年代について、インフレ率とS&P500の実質リターンのグラフを作ってみました。

※今回も使用したデータはすべてmultpl.comのものです。

1960年代

まずは1960年代です。インフレ率1%前後で安定していた1965年頃までは順調に右肩上がりですが、その後はインフレ上昇とともに頭打ちになっています。

10年間でインフレ率は1.03%→6.20%、S&P500は+66.69%になりました。


インフレ率で大雑把に区切ってみると、1960/01~1966/01(インフレ率1.03%→1.92%)ではS&P500が+78.67%、1966/01~1969/12(インフレ率1.92→6.20%)では、S&P500が-6.70%です。

1970年代

1970年代はインフレ率とS&P500は高ボラティリティですが、1978年からのインフレ上昇ではほとんど横ばいとなっています。

10年間でインフレ率は6.18%→13.29%、S&P500は-12.57%になりました。

1970/01~1972/06(インフレ率6.18%→2.71%)ではS&P500が+17.64%、1972/06~1974/12(インフレ率2.71%→12.34%)ではS&P500が-45.58%、1974/12~1976/12(インフレ率12.34%→4.86%)ではS&P500が+50.88%、1976/12~1979/12(インフレ率4.86%→13.29%)ではS&P500が-9.49%です。

1980年代

1980年代は金融引き締めの効果でインフレ率が急速に低下していますが、S&P500が本格的に上昇し始めたのは1982年後半に入ってからです。

10年間でインフレ率は13.91%→4.65%、S&P500は+193.83%になりました。 

1980/03~1983/07(インフレ率14.76%→2.46%)ではS&P500が+51.68%、1983/07~1984/03(インフレ率2.46%→4.80%)ではS&P500が-5.56%、1984/03~1986/12(インフレ率4.80%→1.10%)ではS&P500が+63.79%、1986/12~1989/12(インフレ率1.10%→4.65%)ではS&P500が+35.36%です。

1965~1986年

最後にもう少し長い期間でグラフを作ってみました。

米10年国債利回りでは以下のようになります。

両方入れると以下のようになります。

インフレや長期金利が急騰する局面ではS&P500は悪影響を受けがちですが、株価は将来を織り込んでいるので過去のデータであるインフレ率よりも普通に長期金利を見たほうが良いのかなと思います。

良い金利上昇と悪い金利上昇

なお、PER=1/(長期金利+株式リスクプレミアム−成長率)、株式リスクプレミアム一定と考えた場合、長期金利が上昇しても同時に成長率も同じだけ上昇すればPERは変化しません。


長いスパンで見ると米国の長期金利と名目GDP成長率はだいたい同じような水準になっているため、理論的には長期金利上昇が必ずしも株価にとってネガティブという訳ではありません。金利上昇に伴って成長率も上昇する場合は良い金利上昇といえます。


しかし、金融緩和で人為的に金利を中立金利よりも低く抑え込む場合は成長率が変化しないままなのでPERは上昇し、反対に金融緩和解除で抑えられていた金利が中立金利に向かって上昇する場合は成長率は同じく変化しないのでPERは低下します。これは株式にとって悪い金利上昇といえます。

 過去記事:【長期金利と株式リターン】良い金利上昇と悪い金利上昇


金融緩和がある世界では基本的に株式にとってネガティブな悪い金利上昇と考えておいて間違いはなさそうです。




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