バリュエーション拡大か高成長か


株式の実質トータルリターンは以下のようにあらわすことができます。


 実質トータルリターン=配当利回り+実質EPS成長率+バリュエーション変化


S&P500についてみてみると、このうち配当利回りは1.25%とITバブル以来の低水準にあります。


出典:multpl.com

実質EPS成長率は長期でみるとだいたい年率2%程度で推移しています。

 過去記事:S&P500のファンダメンタルリターンの推移



S&P500の配当利回りの過去平均値は4%強なので、「配当利回り+実質EPS成長率」は6%強となり、よく言われる株式の実質リターン7%弱とだいたい同じくらいになります。


しかし、現在の配当利回りは1.25%なので、長期的な実質EPS成長率が2%のままだとすると、「配当利回り+実質EPS成長率」は3.25%とかなり低くなってしまいます。


今後も7%弱の実質リターンを維持するためにはさらなるバリュエーション拡大か、今までよりもEPS成長率が高まるか、あるいは両方が起こる必要があります。


普通に考えれば株価が下落するかしばらく横ばいが続くかになりそうですが、S&P500の実質トータルリターン指数を作ってみると、歴史的な高バリュエーションの割には長期トレンドラインからそれほど乖離している訳でもなく、さらに株価上昇が続いてもおかしくはなさそうです。



下図は以前作成した長期トレンドラインからの乖離率をもとに作成した予測リターンと実績リターンです。直近は4%程度で過去平均よりは低いですが、1960年代後半や2000年前後ほどは悪くありません。

 過去記事:S&P500の長期トレンドラインへの回帰:今後10年間の実質リターン



高バリュエーションがそのまま維持されてEPS成長にほぼ沿って株価が上昇すれば4%程度の実質リターンになりそうですが、そうするとその後のリターンはさらに低くなってしまいそうです。


CAPEレシオだけで判断すると今後10年間の実質リターンは若干マイナスになりそうですし、どういう考え方をしても過去平均よりは悪いリターンになるのは間違いなさそうですが、今後10年間は今まで以上に不透明な気がして興味深く感じています。

 過去記事:1990年以降のCAPE利回りと10年後の実質リターン




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