高齢化は金利低下要因なのか、上昇要因なのか


何も予備知識がない状態で高齢化が金利に与える影響を考えると、直感的には労働者が減るので賃金インフレ圧力→金利上昇?と連想しそうですが、一般的には高齢化は潜在成長率低下→中立金利低下で金利低下要因というのが主流なんじゃないかなと思います。


実際に過去のアメリカやイギリスの中央年齢と長期金利を並べてみると、戦後中央年齢が若くなった期間(ちょっとズレていますが)に金利上昇が起こり、その後は高齢化とともに金利低下が続いてきたように見えます。

 過去記事:中央年齢の上昇と30年国債利回りの低下


高齢化がインフレ&金利上昇要因という説

一方、最近読んだチャールズ・グッドハート&マノジ・プラダン著『人口大逆転 高齢化、インフレの再来、不平等の縮小』では、今後は労働人口減少&高齢者人口増加が需要超過を引き起こし、数十年にわたるインフレ圧力と金利上昇局面がくると主張しています。


この本によると、少子高齢化が進む日本で今までインフレにならなかったのは生産を豊富な若い労働力をもつ中国等にアウトソーシングできたうえ高齢者の労働参加率が上昇したからで、今後は中国を含む全世界が労働力不足に陥り、これ以上の高齢者の労働参加率の上昇余地は小さいので、インフレ上昇は不可避だそうです。


また、自動化、ロボット、AIが労働力減少を相殺するというのも、今後深刻さが増していく介護においては労働の代用になるのは難しく、製造業のようなアウトソーシングは不可能なので若い新興国からの移民で補うしかないが、移民政策は政治的に難しいので、ただでさえ不足する国内の労働力を介護に割くしかないそうです。


ここまでは悲観的ですが、今まではグローバル化によって賃金が抑制されていた労働者の交渉力が強まり、格差は縮小するという今後の若い労働者にとってはポジティブな一面もあります。


高齢化は潜在成長率低下→金利&インフレ低下というのは説得力があると思うのですが、今まではグローバル化や高齢者の労働参加率上昇によって抑制されていたと考えると、今後は反転しそうな気もします。


私もなんとなく技術革新が今後の高齢化をなんとかしてくれるんじゃないかという期待を持っているのですが、過大な期待を持ち過ぎているんでしょうか。


高齢化がインフレ&金利上昇要因説が正しかった場合、退職者、特に近いうちにFIREを目論んでいる私のような人にとってはかなり厳しい状況になります。


個人的にはどうにもならなくなったら安楽死したいなと思っているので、安楽死合法化を強く願っているのですが、この辺も今後どうなっていくのかとても気になります。




よろしければ応援クリックお願いします
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

コメント