ゴールドの地上在庫は少し前は約18万トンと言われていましたが、World Gold Councilによると最新の推計値(2022年末時点)は20万8,874トン(内訳はジュエリー46%、バー&コイン&ETF 22%、中銀17%、その他15%)だそうです。いつの間にか16%くらい増えていたんですね。
この記事を書いている時点のゴールド価格は1,950ドル/オンス、1トン≒35,274オンスなので、今のゴールドの時価総額(推計)はだいたい
- 1,950×208,874×32,150≒13.1兆ドル
です。
世界のGDPは2021年では96.51兆ドルだったようですが、とりあえず現時点を100兆ドルとすると、ゴールドの時価総額は世界のGDPの13%強を占めているということになります。
FREDとWorld Gold Councilのデータを使ってゴールドの時価総額/世界のGDPの推移(推計)を作ってみると、1980年前後を除くと5%から15%の間で動いているようです。
ちなみに米国のバフェット指数(上場株式の時価総額/GDP)はこんな感じです。
出典:gurufocus |
バフェット指数はかつては100%を上回ると割高みたいに言われていた時期もありましたが、ゴールドも昨今の情勢を踏まえると15%でも普通といえるのかもしれません。
ゴールドの時価総額/世界のGDPの比率が一定ならゴールドの時価総額はGDP成長率と同じペースで成長していくことになりますが、ゴールドに投資したときのリターンは希釈分(1.5%程度)を差し引く必要がありますし、過去40年のような高いリターンを得るにはこのマルチプルのさらなる拡大が必要そうです。EPS成長があまり望めないがPER拡大期待が持てるみたいなイメージ。
過去記事:全世界のGDPとゴールド年間採掘量
ビットコインは長期的には、たとえば世界のGDPが150兆ドルくらい、ゴールドの時価総額/世界のGDPが5%〜15%として、ゴールドの時価総額の50%〜80%くらいまで成長するとしたら、1BTC=18万ドル〜85万ドルくらいまで上昇余地はあるのかなと何となく思っています。
(85万ドルシナリオでも世界のGDPに対してゴールドの時価総額が15%、ビットコインが12%で合わせて27%になってしまうので、SoVの時価総額がそこまで大きくなる余地があるのかは謎ですね…なお、最強気シナリオhyperbitcoinization実現では1BTCが数百万ドルくらいになります。)
ゴールドやビットコインは株式と同じように、マルチプルの上限まで伸び切ったあとのリターンは良くてもGDP成長率と同じペース(ゴールドはインフレを差し引いた後)で成長していくことになる一方でダウンサイドは大きいという状況になりますが、株式以上にマルチプルの適正値が読めないので加熱していく過程では判断に困りそうです。
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BTCが金のように国家に縛られない自由通貨たり得るためには、上手く表現できないのですが、暗黙の了解というか、各国政府がその価値を認めるような何かが必要な気がします。
返信削除例えば外貨準備にBTCを選択したりするような……。
ビットコインは貨幣と国家の分離が目的なので、たとえばエルサルバドルが法定通貨にしたような国家主導ではなくて、草の根で普及していくのが望ましいこととされているんじゃないかなと思います。
削除法定通貨としてはエルサルバドルと中央アフリカ共和国、ビットコインによる税金支払いはアメリカのコロラド州やスイスのルガーノ市等でできるそうですが、個人的にもこういう動きよりはSoV(価値の保存手段)としての普及が進んだあとにLightning Network決済が広く受け入れられていくようになればいいなあという感じです。
(まあ日本ではいくら低コスト高速決済ができるといってもビットコイン決済したら税金が面倒なので今の税制では厳しそうですが…)
そもそも発行上限が完全に固定されているビットコインが法定通貨を代替するのが経済にとっていいことだとは思っていないので、個人的にありうると考えているのはゴールドの時価総額から中銀保有分を除外したくらいが限度な気がします。