金利が資産価格に与える影響


金利は資産価格に対して大きな影響を与えます。


実際に米国株の過去パフォーマンスをみてみても、金利上昇局面にはバリュエーションが縮小し、金利低下局面には拡大しています。

 過去記事:長期金利上昇局面ではバリュエーションが縮小する


足元の金利上昇も確実に株式のバリュエーションを押し下げていますし、日本の高騰している都心マンション価格も今後の金利上昇でそれなりに影響があるんじゃないかなと思います。


しかし、金利上昇で株価や不動産価格が下落するという主張をしている人は株式や不動産を永久債みたいに考えている場合が多いような気がします。


永久債の現在価値はキャッシュフロー/割引率で計算されるので、株式や不動産に当てはめると

  • 現在価値=キャッシュフロー/(無リスク金利+リスクプレミアム)

となります。


このように考えると、リスクプレミアムが仮に5%で無リスク金利が1%から2%に上昇すると価格は約14%下落、無リスク金利が2%から5%に上昇すると価格30%下落することになります。


でも実際には株式や不動産は成長率を加味して以下のように計算されるので、

  • 現在価値=キャッシュフロー/(無リスク金利+リスクプレミアム-成長率)

無リスク金利が上昇する際にはだいたいインフレ率も上昇していて分母の成長率も上がっていて一部は相殺されるはずなので、金利上昇の影響は先ほどの永久債みたいに考えた場合と比べるとマイルドになるはずです。


今後日本の短期金利が上昇して住宅ローンの変動金利が上昇したらマンション価格が暴落するみたいな話はよくみかけますが、これだけ高金利になっているアメリカでは住宅価格はほぼ史上最高値付近ですし、株式も最高値からは多少低いもののかなりの高値圏にあるので、日本の金利が今後多少上がることがあっても大した影響はなさそうな気がしています。


最近日本円は一部でジャパニーズリラ呼ばわりされているそうですが、日本が高金利の世界を考えてみるとトルコみたいに株式(たぶん不動産も)を買ったほうがよかったみたいなのを想像してしまいます。


MSCIトルコ(現地通貨建) 出典:MSCI



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