今回のインフレでヘッジになったものとならなかったもの


長期的にみれば株式はEPS成長率がインフレを上回るはずですし、短期債(キャッシュ)も金利はインフレに連動して上昇するはずと考えるとインフレヘッジになるといえるかもしれませんが、高インフレ下の実質リターンやインフレ感応度をみるとやはりイメージ通りゴールドが鉄板です。

今回のちょっと特殊な高インフレはまだ完全には終わっていませんが、インフレヘッジとして様々な資産はきちんと機能したのかを振り返って見ました。

ゴールド

米ドル建てでは大きく上昇しましたが、インフレ調整後では2020年から現在までの約3年間でほぼ横ばいです。ただしインフレ率が急上昇し始めた2021年初に投資していたらマイナスなので、実際にインフレが問題になり始める前に保有しておく必要がありました。

出典:Portfolio Visualizer

一方、円建てではドル高円安に伴って5,500円/g→10,000円/gまで大幅上昇しているので日本人はゴールドを保有しておけば完璧にインフレヘッジが可能でした。ゴールドに関わらず大半の外貨建て資産を保有していれば日本のインフレには勝てていたので、この場合はゴールドというよりは外貨ならほぼ何でもという感じでしたが…

コモディティ

コモディティは指数によって違いますが、こちらはゴールドと違ってインフレが問題になり始めた2021年初に投資してもとりあえず間に合った感があります。ただゴールドよりもボラティリティが激しく落ちるのも早かったのでこれでうまくインフレヘッジするのは結構難しそうです。

出典:Portfolio Visualizer

キャッシュ/短期国債

インフレに金利が追いつかなかったので10%以上の購買力を削られました。足元では金利>インフレなので回復傾向にありますが、金利はインフレに連動して上昇するのでキャッシュ/短期国債でインフレヘッジになるというのは今回は全く当てはまりませんでした。

出典:Portfolio Visualizer

そもそも短期金利がインフレに遅れることなく完全に沿って上昇するとしても税引き後ではほぼ確実に購買力は損なわれるので、インフレを恐れて何かを高値掴みするよりは被害を小さく済ませることができるという程度になりそうです。

日本も当然金利<インフレなのでキャッシュ/短期国債では購買力を削られてしまいましたが、米ドルキャッシュ/米短期国債に投資しておけば完璧にインフレヘッジできました。

TIPS(物価連動国債)

物価連動国債と聞くと完璧にインフレヘッジできそうなイメージを最初は持っていましたが、実質金利が上昇すると価格は下落するので今回は全く駄目でした。


出典:Portfolio Visualizer

価格変動は満期まで持ち切ればいいだけかもしれませんが、政府がインフレ率を誤魔化すみたいな心配をしている人にとっては長期で物価連動国債を保有するのは微妙なような気もします。

株式

米国株は一応上昇しているものの、米国除く先進国株と新興国株はコロナ前の水準を下回っています。これもインフレが問題になり始めた2021年初に投資していたらかなりマイナスですし、インフレピークアウト&利下げが見え始めてから上昇しているのでインフレヘッジとはなかなか言えなさそうです。

出典:Portfolio Visualizer

ただしこれも日本人はドル高円安で普通にインフレヘッジになってしまいました。日本株でも新興国株でもだいたい何に投資してていも円ベースでは普通に購買力が増えました。

住宅

S&Pケース・シラー住宅指数をCPIで割ったものです。これは2021年初に買っても余裕で間に合っているので今回見たなかでは一番良かったかもしれません。


住宅価格は日本でも頻繁に報道されている通り大幅に上昇しましたし、住宅ローンでレバレッジがかかっているぶん、他と比べて実質純資産増加への寄与が最も大きかったんじゃないかなと思います。

まあ以前見たデータでは住宅はインフレ感応度マイナスになっていましたし、基本的には基本的には株式や債券と同じインフレに弱いものだと思っておいたほうが良さそうです。

日本では今回外貨建て資産を買っておけばだいたい何でも良かったというのも次のインフレでも当てはまるものではないでしょうし、やっぱり無難にゴールドか物価連動国債を満期まで持ち切るかが良さそうな気がしますね。

日本円が死亡して日本だけインフレみたいなことになったら今回と同じで適当に外貨建て資産を買っておけば何でもという感じになりますが。



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コメント

  1. 3年くらいのスパンでtipsもゴールドもこんな感じだとヘッジをうまくやるのも難しい感じがしました。
    脳死で株式の方が強そう()な気が…

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    1. そうなんですよね…
      70年代みたいな長期にわたる高インフレはなかなか無さそうな気がしますし。
      インフレ上昇でPERが下がるとしても長期でみればEPSはインフレを上回るからヘッジになるんだと言い聞かせながら脳死で株式全振りで良さそうと思ってしまいます。

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