全世界の株式時価総額、ゴールド時価総額と全世界のGDP


前回は超長期的にみれば全世界の株式市場やゴールドの時価総額は全世界のGDPと同じペースでしか増加することはできないので、株式の株主還元やゴールドの希釈を加味すると長期的なリターンは株式>GDP成長率>ゴールドになるという記事でした。

 過去記事:長期的には株式リターン>GDP成長率>ゴールドのリターン


今回はそれを踏まえて現在の全世界株やゴールドの水準を見てみます。

全世界の株式時価総額と全世界のGDP

まず、IMFによると2024年の全世界のGDPは109.5兆ドルだそうです。


一方で岡三証券によると2024年3月末時点の世界の株式時価総額は117.3兆ドルだったそうです。


なので全世界株の株式時価総額/全世界のGDP(バフェット指標)は107%ということになります。


米国や日本は150%を大きく上回っているのでそれに比べるとマシですが、元々は100%を超えると割高とかいう話でしたし、国営企業が多い新興国では100%を大幅に下回るのが普通だったりするので、全世界で100%を上回っているのは相当高めだと思われます。


昔の世界の株式時価総額はどうだったのかを調べてみると以下のグラフが出てきました。


出典:Seeking Alpha

世界の株式時価総額は、2000年のピークで約35兆ドル、2002年の底で約20兆ドル、2007年のピークで62.8兆ドル、2009年の底で29.1兆ドルだったようです。


一方、IMFによると世界のGDPは2000年が34.1兆ドル、2002年が35.0兆ドル、2007年が58.5兆ドル、2009年が60.8兆ドルなので、株式時価総額/GDP(バフェット指標)は2000年が103%、2002年が57%、2007年が107%、2009年が48%、2024年の107%は2007年のピークと同水準ということになります。

2000年以前はありませんが、これを見る限りでは全世界株についてはバフェット指数が100%を超えると割高説はなんとなく合っていそうな気もします。

バフェット指数は単一国ではTSMCによって右肩上がりが続く台湾のように輸出産業が伸びていたら100%を上回り続けたり、上場企業が少ない新興国は100%を下回り続けたりするのであまり意味がないですが、全世界について過熱感をみるには悪くなさそうに思えます。

ゴールドの時価総額と全世界のGDP

現在のゴールド価格が2,310ドル/オンス、地上に存在するゴールドが2023年末時点で212,582トンなので、現在のゴールドの時価総額は17.3兆ドルです。


2024年の全世界のGDPは109.5兆ドルなので、ゴールドの時価総額/全世界のGDPは15.8%です。


ゴールドの時価総額/全世界のGDPの長期推移は以前概算で作ってみたことがあるのですが、この数値はだいたい5~15%の間で動いているといえそうです。

 過去記事:ゴールドの時価総額と世界のGDP


1971年以前は金本位制で米ドルに対して割安すぎたところからニクソンショック以降は5%以下から20%超まで急騰、1980年以降は20年にわたって低迷し続け、2000年以降は2004年のETF誕生、リーマンショック以降のQE、パンデミックでの現金給付、ロシア・ウクライナ戦争以降の米ドル離れで右肩上がりが続いています。


現在の15.8%はかなり過熱感があるものの、1980年前後の20%まではまだ距離があるので3,000ドル/オンスくらいまでは到達する可能性があるのかもしれません。

(それでも元の水準が高いので仮に1970年代のようにインフレが再燃することがあったとしても1970年代の再来のような上昇はあり得なさそうです。)


とはいえ、全世界の株式時価総額/GDP、ゴールドの時価総額/GDPのいずれも過去の強気相場のピーク近くまできているので、ここから投資しても上値よりは下値余地のほうが圧倒的に大きく、またこの比率が高止まりしたとしても中長期的には世界のGDP成長率程度(株式は株主還元分プラス、ゴールドは希釈分マイナス)のリターンがあれば良いということになりそうです。




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