小型株は長期にわたってアンダーパフォームが続いており、大型株対比で安く見えます。
しかし一方で小型株の多くは赤字企業のためにRussell 2000の予想PER※は26.30であり、これはS&P500(23.43)どころかNASDAQ100(25.12)よりも高いため、株価が大型株に劣後しているだけで別に安くもなさそうにも思えます。
※WSJのデータ
CAPEレシオをみると、先進国株は大型株29.7に対して、小型株21.2と3割近く低くなっており、こちらは安く見えます。ただ単に過去10年間であまりEPS成長も株価成長もしなかったためにこうなっているだけという気もしますが。
過去記事:世界各国のCAPEレシオと中央値からの乖離率(2024年12月末)
つみたてNISAではパフォーマンスの振るわないSBI-EXE-i 全世界中小型株式ファンドを買い続けながら、果たして小型株の復権は訪れるのだろうかと最近は疑問に感じつつあるのですが、先週のバロンズ・ダイジェストになるほどと思うコメントが載っていました。
ブラック氏:ロジャース氏のコメントについて触れたい。毎年、中小型株への期待が永遠のように生まれる。中小型株は2007年1月1日以来出遅れが続いており、2007年年初から2024年年末までにラッセル1000成⻑株指数は年率13.2%上昇してベストパフォーマンスとなったが、ラッセル2000バリュー株指数は同時期に年率6.3%上昇と、大幅な乖離(かいり)がある。
何が起こったのか。その理由の一つとして、第二次世界大戦後に多くの小さな企業は成功して大きくなった。現在小型株指数に含まれる多くの企業は、バイオテックやAI関連企業を除くとより古くから成熟した企業であり、成⻑するための戦略的計画が成功しなかった。中にはバランスシートが良く利益が伸びる企業もあるだろうが、一つのリスク資産として小型株は劇的に変わってしまった。
引用:バロンズ・ダイジェスト(2025/01/12)
大型株と小型株を構成する企業の平均年齢みたいなものは見つからなかったのですが、たしかにS&P500の上位10銘柄を眺めると古い企業といえそうなのはバークシャー(1888年創業、ただしバフェット経営権取得が1965年)くらいで、次はブロードコム(1961年)、マイクロソフト(1975年)、アップル(1976年)くらいで結構新しめの企業ばかりなんですよね。
よく見かけるS&P500構成企業の平均在籍期間チャートを見ても昔は30年前後だったのが、最近では20年以下まで短くなっていますし、大型株の新陳代謝が激しくなっているのは有名だと思います。
出典:Innosight |
これの小型株版は見たことがありませんが、大型株に上がれなかったり落ちてきたりした企業で構成されていると考えると新陳代謝はあまり良くなく、成長性も収益性もない古い企業が結構多かったりするのかもしれません。
昔は小型株というと新しい高成長が期待できる企業、大型株は成熟した低成長企業みたいな感じで小型株の長期アウトパフォームが続いたものの、最近ではそうでもなくなっているというのが小型株不振の一因なのかもと思いました。
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