ただ、米国株の過去200年間の実質トータルリターンは年率7%弱とは言われているものの、人間の寿命は有限です。一人の人間の投資期間ではタイミングが悪ければ、7%どころか銀行預金のほうが良かったということもあり得ると思います。
(預金金利>インフレ率の時期がほとんどなので、タンス預金ではなく銀行預金の場合はインフレで実質的な価値が大幅に減ることは少なそうです。)
そこで、今回は投資期間を40年、20年とした場合の米国株(S&P500)の実質プライスリターン(株価の値上がりによるリターン)を調べてみました。
※今回使用するデータはすべてmultpl.comのものです。
S&P500を高値掴みしてから40年間の実質プライスリターン
インフレ調整後のS&P500
まずはインフレ調整後のS&P500の推移を見てみます。赤い線は過去最高値です。インフレ調整後S&P500が高値回復するのに最も時間がかかったのは1929年9月~1958年11月(29年2カ月)、次いで1968年12月~1992年1月(23年1カ月)、1906年9月~1928年9月(22年)、2000年8月~2014年11月(14年3カ月)です。
ちなみにリーマンショックは2007年10月~2013年11月(6年1カ月)と比較的短いです。
これはプライスリターンだけなので、配当を含むと回復は早くなりますが、買うタイミングが悪ければ思いのほか含み損の期間が長いことが分かります。
このうち、1906年9月、1929年9月、1968年12月に高値掴みしてから40年間の実質プライスリターンを調べてみました。
1906年9月〜1946年9月
まずは1906年9月〜1946年9月です。参考に米10年国債利回りも載せています。この間の実質プライスリターンは年率-1.14%(40年で-36.87%)です。途中でとんでもない大暴落もありますし、これだけ長期間に渡って報われないとホールドし続けるのもなかなか大変そうですね。
ただし、この間の平均配当利回りは5.56%と非常に高かったので配当を含むトータルリターンではプラスになりますし、インフレ調整前の株価は40年で1.5倍ほどになっているので心理的にはグラフほどはひどく感じないかもしれません。
1929年9月〜1969年9月
この間の実質プライスリターンは年率0.86%(40年で40.80%)、平均配当利回りは5.67%です。これは先ほどと比べるとまだマシそうです。1968年9月〜2008年12月
この間の実質プライスリターンは年率0.83%(40年で39.14%)、平均配当利回りは3.95%です。これは途中から長期金利が低下トレンドになっていて株価にとっては追い風の時期ですが、最後がリーマンショックのほとんど底に近い時になっているので悪い結果になっています。(過去記事:長期金利上昇局面と低下局面における米国株のリターン)
(過去記事:長期金利上昇局面ではバリュエーションが縮小する)
S&P500の40年間の実質プライスリターン
他の期間ではどうだったかを調べるために、40年ローリング・リターンをグラフ化してみました。40年間の実質プライスリターンが最も良かったのは1979年5月〜2019年5月の5.40%、最も悪かったのは1892年6月〜1921年6月の-2.00%、平均値は1.75%、中央値は1.97%でした。
配当を加味すると最悪でもとりあえずは実質ベースでプラスになりそうですね。
S&P500の20年間の実質プライスリターン
一方、20年ローリング・リターンは以下のようになっています。20年間の実質プライスリターンが最も良かったのは1980年4月〜2000年4月の20.97%、最も悪かったのは1901年6月〜1921年6月の-10.51%、平均値は4.35%、中央値は4.37%でした。
投資期間が20年の場合は配当を加味してもマイナスになる時期が普通にありますね。
20年間の実質プライスリターンが最後にマイナスになったのは1969年6月〜1989年6月で、それ以降はかなり良いリターンが続いていますが、20年間程度では報われないこともあると思っておいたほうが良さそうです。
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