なお、今回使用したデータはすべてMSCIのものです。
セクター比率(2019年12月末)
2019年12月末の全世界・先進国・新興国・米国のセクター比率は以下のようになっています。セクター別のPER(2019年12月末)
まずは2019年12月のセクター別PERです。グラフ化すると以下のようになります。
一般消費財はアリババ、コミュニケーション・サービスはテンセント・ホールディングスがそれぞれ約4割を占めており、生活必需品はアンベブ(5.6%)、FEMSA(4.7%)、ヒンドゥスタン・ユニリーバ(4.5%)、ウォルマート・メキシコ(3.8%)などがあります。
過去記事:【新興国生活必需品】FMX(FEMSA)とABEV(アンベブ)が気になる
新興国で最も高PERのヘルスケアは以下の銘柄が含まれています。
出典:MSCI |
不動産セクターのPER差について
なお、不動産セクターは米国と米国外でかなりPER差がありますが、これはサブセクター構成が全く違うためです。VNQ(バンガード不動産ETF)とVNQI(バンガード・グローバル(除く米国)不動産ETF)についての下記記事でも書いたのですが、米国の不動産セクターはREIT主体であるのに対して、米国外ではReal Estate Development、Real Estate Operating Companies、Diversified Real Estate Activitiesなどのウェイトがかなり大きいです。
過去記事:【REIT ETF】VNQとVNQIはサブセクターの差が大きい
特に新興国ではReal Estate Developmentが68.34%、Real Estate Operating Companiesが13%、Diversified Real Estate Activitiesが11.04%を占めており、REITは7.62%しか含まれていません。
出典:MSCI |
REIT主体の米国と不動産デベロッパー主体の米国外では安定性が全く違うと思われるため、PERに大きな開きがあるのは当然といえるのではと思っています。
ちなみに私は不動産デベロッパーよりもREITに投資したい派なので、国際分散させるならVNQ+VNQIよりもREET(iシェアーズ グローバルREIT ETF)を買いたいです。
過去記事:REET(iシェアーズ グローバルREIT ETF)
セクター別の予想PER(2019年12月末)
次は2019年12月のセクター別予想PERです。グラフ化すると以下のようになります。
※米国不動産セクターは42.79なので実際には横軸から突き抜けています。
金融・エネルギー・素材セクターを除いたPER
新興国は他地域よりも低PERですが、これはシクリカル低PERの金融やエネルギー、素材セクターのウェイトが高いためでもあります。この3セクター(金融やエネルギー、素材セクター)を除いたPERを計算すると以下のようになります。
セクター比率を揃えたPER
3セクターを単純に抜いただけだと新興国に不利なので、セクター比率を全世界に揃えて調整したPERを計算すると以下のようになります。セクターを全世界に揃える調整を加えた場合では新興国は先進国と比べて18%低いです。
私は新興国株に強気ですが、セクターの違いを考慮すると見た目ほどの差はないんじゃないかなと思っています。
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