ナイジェリア銀行株の融資ポートフォリオを調べてみた


ナイジェリアは産油国ですが、NGE(グローバルX MSCIナイジェリアETF)は金融・生活必需品・素材セクターが約9割を占めており、エネルギーセクターはほとんど含まれていません。

そのためか、NGEと原油価格との相関係数は他の国と比べるとかなり低いです。
 過去記事:世界各国のカントリーETFと原油価格との相関を調べてみる

ですが、ナイジェリアの輸出はほとんどが原油なので、原油暴落で外貨準備高が急減しており、通貨ナイラを買い支えることができなくなっていますし、NGEも一時は2013年の高値から88%下落しました。
 過去記事:NGE(グローバルX MSCIナイジェリアETF)、2013年の高値から88%下落

NGEはエネルギーセクター比率は低いですが、4割超を占める銀行株は融資を通して原油安の影響を受けるんじゃないかなと思ったので、今回はNGEの銀行株の融資ポートフォリオの内訳を調べてみました。
(銀行株のことがよく分からないので融資ポートフォリオっていう言い方をするのかは知りませんが…)

NGE構成銘柄のうち、銀行株はGuaranty Trust Bank、Zenith Bank、United Bank for Africa、FBN Holdings、Stanbic IBTC Holdings、Access Bank、Fidelity Bank Nigeria、Ecobank Transnational、Sterling Bank、FCMB Groupの10銘柄です。

以前、NGEのCAPEレシオを概算したときに構成銘柄のEPS推移を調べたことがあるので、良ければこちらもご覧ください。
 過去記事:NGE(グローバルX MSCIナイジェリアETF)構成銘柄のPERとCAPEレシオ

Guaranty Trust Bank

まずはGuaranty Trust Bankです。Upstream Oil&gasが28%、Midstream Oil&gasが13%、Downstream Oil&gasが4%で、計45%が原油・ガスとなっています。

出典:Guaranty Trust Bank

一方、2019年の不良債権はMidstream Oil&gasが15%、Downstream Oil&gasが9%で、計24%が原油・ガスです。意外に少ないですが、2018→2019年で増えていますし、原油暴落で2020年はもっと増加しそうですね。
出典:Guaranty Trust Bank

Zenith Bank

Zenith BankはUpstream Oil&gasが14.6%、Downstream Oil&gasが10.6%で、計25.2%が原油・ガスとなっています。

出典:Zenith Bank

不良債権に占める原油・ガスの比率は30.75%と高めです。

出典:Zenith Bank

United Bank for Africa

United Bank for Africaは原油・ガスが23.5%ですが、不良債権に占める原油・ガスの比率は40%とかなり高いです。不良債権の比率は3年間で下がっていますが、原油暴落の影響で今後は増えそうですね…

出典:United Bank for Africa

FBN Holdings

FBN HoldingsはUpstream Oil&gasが17.9%、Downstream Oil&gasが7.8%で、計25.7%が原油・ガスとなっています。

出典:FBN Holdings

不良債権に占める原油・ガスの比率は13.6%です。不良債権は2018年→2019年で大きく減っています。

出典:FBN Holdings

Stanbic IBTC Holdings

Stanbic IBTC Holdingsは原油・ガスが28%で、内訳はUpstream Oil&gasが35%、Servicing Oil&gasが16%、Downstream Oil&gasが49%となっています。

出典:Stanbic IBTC Holdings

不良債権に占める原油・ガスの比率は2.11%です。

出典:Stanbic IBTC Holdings

Access Bank

Access Bankは計28.2%が原油・ガスとなっています。

出典:Access Bank

不良債権に占める原油・ガスの比率は51.4%です。ただし2018年はわずか6.7%だったのでやはり時期によってかなり違うようですね。

出典:Access Bank

Fidelity Bank Nigeria

Fidelity Bank Nigeriaは計20.1%が原油・ガスとなっています。

出典:Fidelity Bank Nigeria

一方、不良債権に占める原油・ガスの比率は39.8%です。

出典:Fidelity Bank Nigeria

Ecobank Transnational

Ecobank Transnationalは計18%が原油・ガスとなっています。

出典:Ecobank Transnational

不良債権に占める原油・ガスの比率は14%です。

出典:Ecobank Transnational

Sterling Bank

Sterling Bankは計38.3%が原油・ガスとなっています。

出典:Sterling Bank

不良債権に占める原油・ガスの比率は23.2%です。
出典:Sterling Bank

FCMB Group

FCMB Groupは計28.8%が原油・ガスとなっています。

出典:FCMB Group

不良債権に占める原油・ガスの比率は7.8%です。

出典:FCMB Group

まとめ

各銘柄の融資ポートフォリオに占める原油・ガスの割合、不良債権に占める原油・ガスの割合を表にまとめてみました。すべて2019年のデータです。

融資ポートフォリオ
に占める原油・ガス
不良債権
に占める原油・ガス
Guaranty Trust Bank45.0%24.0%
Zenith Bank25.2%30.8%
United Bank for Africa23.5%40.0%
FBN Holdings25.7%13.6%
Stanbic IBTC Holdings49.0%2.1%
Access Bank28.2%51.4%
Fidelity Bank Nigeria20.1%39.8%
Ecobank Transnational18.0%14.0%
Sterling Bank38.3%23.2%
FCMB Group28.8%7.8%


NGEの構成比率で加重平均すると、融資ポートフォリオに占める原油・ガスの割合は約32%になります。

原油安になると経常収支が悪化して外貨準備高が減るというだけでなく、NGEの4割超を占める銀行株の融資が不良債権化するという間接的な影響もあるということですね。

2020年はかなり影響が大きそうですが、PER3台は安いと思うのでめげずに買い増ししていきたいです。

出典: Global X



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