グロース株のバリュエーションは難しい【Amazonバリュエーション】


いまアスワス・ダモダラン教授の『企業に何十億ドルものバリュエーションが付く理由』を読んでいます。


この本にはケーススタディとして2014年10月時点のダモダラン教授のAmazonバリュエーションが載っており、下表のように楽観的シナリオ(世界支配)、中立シナリオ(フィールド・オブ・ドリームス)、悲観的シナリオ(滅亡の日)の3つに分けられています。向こう5年間はそれぞれ15〜20%で成長した後、2.20%まで線形的に下落して安定成長という感じになっています。


出典:アスワス・ダモダラン著『企業に何十億ドルものバリュエーションが付く理由』

3つのシナリオと実績を比べてみる

この本が書かれてから4年が経っているので、3つのシナリオと実績を比べてみました。

(実績のデータはAmazonのもので、2020年はTTMを使っています。)


売上高は楽観的シナリオを大幅に上回って推移しています。

営業利益率は楽観的シナリオと中立シナリオの中間くらいで推移しています。

FCFFは楽観的シナリオを大幅に上回って推移しています。

(ただし、実績データのMorningstarでは「Operating Cash Flow-Cap Spending」としているのに対して、ダモダラン教授は「税引き後営業利益(EBIT(1-t))-再投資(投下資本増分)」としているので計算方法が違います。)

2014年10月時点の3つのシナリオに基づく理論株価は楽観的シナリオが$468.51、中立シナリオが$175.25、悲観的シナリオが$32.72、実際の株価は$287.06だったそうです。


現在(2020/11/2時点)の株価は$3,004.48なので6年間で10.5倍になっています。


ダモダラン教授のシナリオでは、売上高成長率は1~5年目は高成長(年率15〜20%)を維持、6~10年目は永久成長率2.20%に向かって緩やかに成長鈍化、11年目以降は永久成長率2.20%で固定としていましたが、実際には1~5年目は年率25%超、6年目以降も今のところはまだ成長鈍化はみられません。


高成長期の成長率が予想と少しズレていたり、また成長鈍化するまでの期間が長かったり短かったりするだけで結果は大幅に違ってくるので、こうやってみるとグロース株のバリュエーションは難しいと改めて実感しますね。

(2014年当時AMZNがどういう風に見られていたのか知りませんが、きっとずっと割高と言われ続けてきたんだろうなと思います。)


なお、このシナリオの永久成長率2.20%というのは当時の米10年国債利回りです。名目長期金利は名目GDP成長率と大体似たような数値になるということで、ダモダラン教授教授は永久成長率として米10年国債利回りを使っているようです。


PER=1/(割引率-成長率)=1/(株式リスクプレミアム+長期金利-成長率)なので、名目長期金利が低下すると割引率(名目長期金利+株式リスクプレミアム)が低下することでPERは上昇しますが、一方で金利低下は将来の成長率低下を意味するので、長期的には低金利が必ずしも良いことだとは言えないと思います。

 過去記事:低金利が必ずしも良いとは限らない


ちなみに2020年8月時点のダモダラン教授のAmazonバリュエーションは以下のようになっています。長期金利0.7%でMedianは$2,778.22です。

 過去記事:ダモダラン教授のFANGAMバリュエーション


出典:Musings on Markets

10年後に振り返ってみてもやはり「株価$3,000は割安だった」みたいになるのか、それとも成長鈍化&金利上昇で冴えないパフォーマンスになるのか注目ですね。




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