ゴールドは超長期でみればインフレヘッジ


CPIに対する金価格の水準は過去50年で1~8.4のレンジで激しく変動しているので、ゴールドがインフレヘッジとして使えるのは1世紀あるいはそれ以上の超長期にわたる投資の場合に限られる、というWSJの記事を読みました。

 参考:金のインフレヘッジ説は本当か 50年の教訓


CPIに対する金価格は足元では6.5と過去50年平均3.6の倍近くの水準であることに加え、暗号通貨という競合の出現によって、ゴールドが今後インフレヘッジとして使えるのかどうかが怪しいという主張です。


過去50年平均では金兌換停止直後のゴールドが割安すぎた時期を含んでいるので3.6に回帰するのが妥当かどうかは怪しいと思いますが、たしかにインフレ調整後のゴールドをみるとかなり割高な感じがします。

(同様にニクソンショック以降の一時期を切り出してゴールドのリターンが株式を上回っているというのも時々見ますが、これは兌換停止直後に米ドルに対して不当に割安だったのが一気に是正されたというのが大きいので、今後ある程度長いスパンでゴールドが株式を上回るのは難しそうな気がします。)

 過去記事:ゴールドとシルバーを比べてみる(名目とインフレ調整後)


しかし一方で、インフレ調整後のゴールドのリターンは長期でゼロになるかというと、最近は必ずしもそうではないのではと思っています。


コモディティの実質価格の長期推移を見てみると、生産効率が高まって安価に大量生産できるようになって長期にわたって大幅に下落し続けるものもあれば、需要が伸び続けた石油や天然ガスみたいに上昇し続けたりするものもあります。

 過去記事:コモディティ価格の長期推移

 過去記事:【需給と価格】イギリスの宅地の実質価格は長期で上昇し続けている


石油や石炭は今後長期で見れば下がっていきそうですが、たとえば生産コストが低下した豚肉が再び100年前の水準まで戻ることはないと思います。


出典:Simon Fraser University


耐久消費財も1990年代中盤から最近までずっと低下基調でしたし、ほとんどのものが技術革新で下がっていく一方、供給量が限られているゴールドが長期的にインフレ率を上回って推移する可能性も十分にありそうな気がしています。


出典:FRED

特に不換紙幣が大量供給され、レイ・ダリオの「Cash is trash」みたいな発言が出てくる現代においては、供給量が限られているゴールドやビットコインのようなものの需要が増える可能性は割と大きいのではと思っています。

(ビットコインはゴールドよりもさらに超高ボラティリティなので冒頭の記事の意味ではもっとインフレヘッジとして不適格かもしれませんが。)




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