米国株について、今までのリターンが良すぎたので今後はあまり高リターンを望めないのでは、という話をよく目にします。
直感的には正しそうな気がしますが、これは切り取る期間によってもかなり違っていて、過去10年ではたしかに歴史的な高リターンである一方、もう少し期間を伸ばすとそれほどでもなかったりします。
過去記事:米国株(S&P500)の10年・20年・30年・40年・50年・60年ローリング実質リターン
ということで、今回はS&P500のリターン・リバーサル効果※について期間を変えて調べてみました。
※モメンタム効果の逆で、下落した銘柄が上昇したり、上昇した銘柄が下落しやすい傾向にあるというアノマリー。
リターンは上記記事と同じくmutipl.comのデータをもとに自作した月次の実質トータルリターン指数(1871/01~2021/08)を使っています。
過去1年間のリターンと将来1年間のリターン
まずは横軸に過去1年の実質リターン、縦軸に将来1年間の実質リターンの散布図を作ってみました。
期間が1年だとリターン・リバーサル効果はないようです。
過去3年間のリターンと将来3年間のリターン
期間が3年間でもやはり同様です。
過去5年間のリターンと将来5年間のリターン
期間5年です。
過去10年間のリターンと将来10年間のリターン
期間10年です。
過去15年間のリターンと将来15年間のリターン
期間を15年まで伸ばすとリターン・リバーサル効果がみられるようです。
2021年8月現在の過去15年間の実質リターンは8.6%とやや高いものの極端に高水準という訳ではないので、将来15年間が必ずしも悪いとは言えなさそうです。過去20年間のリターンと将来20年間のリターン
期間を20年まで伸ばすと以下のようになります。
2021年8月現在の過去20年間の実質リターンは6.6%とほとんど過去平均と同じ水準です。S&P500のリターン・リバーサル効果は期間が相当長くないとほとんど存在しないようです。そしてリターン・リバーサル効果がありそうな15年、20年で見た場合、現時点では過去15年間がやや高水準、過去20年間はほぼ過去平均水準なので、将来15年間、将来20年間のリターンが悪くなるとはあまり言えなさそうな気がします。
これは何度も貼っていますが、S&P500の実質トータルリターン指数は現時点では長期トレンドラインからそれほど乖離している訳ではないので、リターンだけで見た場合は言われているほどの過熱感はないと思っています。
過去記事:S&P500実質トータルリターンの指数関数的トレンドライン
CAPEレシオとか家計金融資産の株式比率とかを見ると歴史的なバブルみたいに思えますが、個人的には米国株の長期トレンドラインを信じているので、ここからさらに上昇が続いても相変わらず脳死フルインベストメントを続けます。ある七面鳥が毎日9時に餌を与えられていた。それは、あたたかな日にも寒い日にも雨の日にも晴れの日にも9時であることが観察された。そこでこの七面鳥はついにそれを一般化し、餌は9時になると出てくるという法則を確立した。そして、クリスマスの前日、9時が近くなった時、七面鳥は餌が出てくると思い喜んだが、餌を与えられることはなく、かわりに首を切られてしまった。
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