ロシアがSWIFTから排除されてから、脱ドル決済の流れが強まっています。
第二次世界大戦後は、金ドル本位制(ブレトンウッズ体制)→金兌換停止で急激なドル安(1971年ニクソンショック)→石油ドル本位制(1974年ワシントン・リヤド密約)という感じの流れだと思いますが、そろそろ基軸通貨としての米ドルの終わりが始まっているのかもしれません。
米ドルが基軸通貨としての地位を失うと米国債もやっぱりだめになるんだろうかと思いながら少し調べていると、1900年〜2000年の各国国債の実質リターンのグラフを見つけました。
出典:Mindfully Investing |
ここには米国は含まれていませんが、米ドル建て実質リターンではスウェーデン、スイス、デンマーク、カナダ、ニュージーランドに次いで、基軸通貨としての地位を追われたイギリスが年率2%ほどとそれなりのパフォーマンスを残しているようです。
オーストリア、ポルトガル、ドイツ、日本、イタリアはマイナス。
なお、株式は国債に比べてると通貨減価のダメージが小さいものなので、基軸通貨から転落する過程でもイギリス株のパフォーマンスはそれほど悪くなかったです。
過去記事:基軸通貨国から転落する過程のイギリス株
米ドルが基軸通貨ではなくなっていっても米国株はたぶん大丈夫なんじゃないかなと思いますし、米国債もまあなんとかという気がしますが、イギリス→アメリカに移ったときとは違ってアメリカから多極化していく世界ではイギリスみたいにはならないかもしれないですね。
レイ・ダリオ氏は米中どちらにも賭けたほうが賢明だみたいな雰囲気のことを言っていましたが、株式投資においては覇権をとるかどうかみたいな話よりもまずは法の支配、私有財産権がきちんと確立されているかのほうが重要なので、中国が結果的に覇権をとったとしても日本の個人投資家が中国株に投資してうまくいくかはまた別なのかなと思っています。
過去記事:法の支配、私有財産権の重要性
無国籍通貨としてのゴールドを保有する意義が高まっていきそうな気がしますね。
個人的にはビットコインのほうが好きなんですが、最近は金貨とかインゴットとかにも少し興味を持っています。
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自分はブログ主様のご意見に同意します。
返信削除個人的な感覚では、西暦2000年頃に通貨の購買力が歴史的なピークに達したのではないかと考えています。
人類史の中で不換紙幣がここまで信用されたのは約800年ほど前、元の時代における「交鈔」まで遡るのではないでしょうか。
文明800年周期説のことも考えあわせると、そろそろ到来するであろう混乱の時代に備えておく時期に来ているのではないでしょうか。
ちなみにその後、明の時代にも交鈔の発行が試みられましたが失敗に終わり、最終的に銀本位制に落ち着くことになります。
世界初?の不換紙幣は中国みたいな話は聞いたことがありましたが、交鈔っていうんですね。
返信削除不換紙幣は常に増発されすぎて滅びるサイクルを繰り返していますが、かと言って供給がほぼ伸びないゴールドや完全に上限が決まっているビットコインのようなものを使うと、貨幣価値が名目GDP成長率と同じペースで伸びる必要があるので強烈なデフレが続くことになって果たして機能するのかどうか怪しい気がします。
昔読んだハイエクの貨幣発行自由化論では、民間銀行がそれぞれ適当な物価バスケットに連動する民間貨幣を発行して競争させるのが良いという話になっていて、個人的にはそれが一番良さそうな気がしていますが、なかなか民間貨幣を使う世の中にはならないように思えます。