そしてEPSは様々な要因があるものの、これもやはり長期的にはGDPとともに上昇するはずです。
今回は米国の実質GDPとS&P500の実質EPS・実質株価の推移を比べてみました。
米国の実質GDP・実質EPS・実質株価の推移
1929年12月を100としてグラフ化すると以下のようになります。※実質株価は2020年3月まで、実質GDPと実質EPSは2019年12月までとなっています。
1929年12月〜2019年12月の年率成長率は実質GDPが+3.22%、実質EPSが+1.97%、実質株価が+2.59%です。
1929年が起点だとGDPに比べてEPSと株価の伸びが小さいですが、四半期毎のデータがある1946年12月を100とした場合は以下のようになります。
1946年12月〜2019年12月の年率成長率は実質GDPが+3.11%、実質EPSが+3.34%、実質株価が+4.04%です。
CAPEレシオが過去中央値と近い1954年12月を100とした場合は以下のようになります。
1954年12月〜2019年12月の年率成長率は実質GDPが+3.04%、実質EPSが+2.58%、実質株価が+3.53%です。
長期金利が急騰した1960年代後半から1980年代前半にかけては実質EPSが上下しつつも上昇しているなか実質株価が下がり続けていますが、それ以降はEPS成長を上回るペースで株価が上昇しています。
過去記事:長期金利上昇局面と低下局面における米国株のリターン
過去記事:長期金利上昇局面ではバリュエーションが縮小する
コロナショックが含まれていないのでGDPはほとんどブレずに綺麗な右肩上がりとなっています。
こうやって見ると長期的に見ればGDPが上昇するのに伴ってEPSと株価も右肩上がりになるので景気が悪くなろうが無視して脳死ホールドが一番だと改めて思いますね。
以前の記事にも書いたのですが、株価は景気循環に先行するものです。景気後退入りの前に既に株価は下がっており、景気後退が終わる前に底打ちするので、景気後退期のS&P500の実質株価はそれほど下がらないことが多く、むしろプラスのときもあります。
過去記事:景気後退期におけるS&P500のEPS・DPS・株価・PER・CAPEレシオの変化
たとえば景気悪化し始めた時点で売却し、景気回復の兆しが見えてきたときに買い戻す、みたいな戦略をとった場合はよほど上手く立ち回らないと失敗する可能性が高そうに思えます。
対GDP比の企業利益
長期的に見ればGDPとEPSは同じように上昇するはずですが、中期的には対GDP比の企業利益が大きく変動するので、EPSはGDPよりも激しく上下します。出典:FRED |
これはGDPには国内企業が海外で稼いだ売上が含まれないので、海外売上高比率が昔よりも高くなっているためだと思われます。
あとはこの企業利益は非上場企業も含んでいると思うので、上場企業の割合でもこの数値は変わってくるはずです。
ネットの自社株買い
下図はS&P500のネットの自社株買い(増資から自社株買いを差し引いたもの)の推移です。出典:Yardeni Research |
2004年頃からマイナスになっているので、グラフの起点の1999年以前ではたぶんネットではプラスだったんじゃないかなと思います。
昔はGDP成長率>EPS成長率だったのが最近ではEPS成長率>GDP成長率になっているのはこのためだと思います。
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