QE(量的緩和)、QT(量的引き締め)と米国株


一般的に長期金利上昇はPER縮小、長期金利低下はPER拡大につながるとされています。

 過去記事:長期金利上昇局面と低下局面における米国株のリターン

 過去記事:長期金利上昇局面ではバリュエーションが縮小する


一方、QE(量的緩和)は国債を買い入れるので長期金利低下、QT(量的引き締め)は買い入れた国債のうち満期が来た分を償還させるので長期金利上昇につながるように思えますが、過去のQEとQTの期間をみると、直感に反してQE期間中に上昇、QT期間中に低下しています。

 過去記事:長期金利はQE(量的緩和)期間中に上昇、QT(量的引き締め)期間中に低下している


これはマーケットが将来のQE、QTを織り込んで事前に金利低下、金利上昇が起きているので"Buy the rumor, Sell the fact."的に期間中は反対の動きになっているということだと思っています。


今回はQE、QTと米国株の値動きについて調べてみました。なお、使用したのはすべてFEDのもので、週次データを使っています。

2007年1月~2021年5月

まずは2007年1月~2021年5月のWilshire 5000とFEDのバランスシートを見てみます。

それぞれのQEとQT期間に区切ってグラフを作ってみました。

QE1

QE1(2008年12月~2010年3月)です。

QE2

QE2(2010年11月~2011年6月)です。

QE3

QE3(2012年9月~2014年10月)です。


QE1~QE3ではバランスシート拡大に沿って株価も上昇していますが、QE終了直前に若干株価下落しています。

QT

QT(2017年10月~2019年7月)です。

QT期間全体を通してみれば株価は上昇していますが、QE中とは異なり大きめの下落を挟んでおりボラティリティが高くなっています。

無制限QE

最後は無制限QE(2020年3月~)です。

長い期間をとっているのでQE、QTすべて株価は上昇となっていますが、QT中はボラティリティが大きくなるという感じですね。

また、同じく無制限QE(2020年3月~)の米10年国債利回りは以下のように推移しています。

これもいつQEが終わるかは分かりませんが、過去のQE1~3と同じくQE期間中は上昇で終わりそうですね。

 過去記事:長期金利はQE(量的緩和)期間中に上昇、QT(量的引き締め)期間中に低下している


このまま同じように続くと次のQTでは金利低下となり、言われているほどの水準まで金利が上昇することはなさそうな気もします。




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