セクターと成長性の罠


ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」によると、全セクター中、長期の実質リターンが最も高かったのはヘルスケアの14.19%、次いで生活必需品の13.36%でした。どちらも市場平均(S&P500)の10.85%を大きく上回っています。3位は情報技術セクターですが、これは1957年~1962年のIBMが驚異的なリターンをもたらした影響が大きく、IBMを除くと市場平均を下回ってしまうそうです。

1957年~2003年の間、1位~3位のセクターの市場シェアは拡大したのに対して、4位のエネルギーは15.68%縮小しました。にもかかわらずエネルギーセクターが高リターンだったのは、石油会社が本業に集中して利益を配当の形で株主に還元し続けたこと、投資家の期待が低く株価も低めだったからだそうです。

セクター実質リターン
(1957年~2003年)
市場シェアの
拡大(縮小)
ヘルスケア14.19%12.14%
生活必需品13.36%5.23%
情報技術11.39%14.71%
エネルギー11.32%-15.68%
一般消費財11.09%-3.28%
平均(S&P500)10.85%0%
金融10.58%19.87%
資本財10.22%-1.13%
電気通信9.63%-4.00%
公益事業9.52%-4.81%
素材8.18%-23.06%
「株式投資の未来」 ジェレミー・シーゲル著、日経BP社、57ページより

低いバリュエーションと高い配当は、配当を再投資するときに保有株数をより多く積み増せるので、将来相場が上昇したときのリターンが加速します。反対にセクターや企業としては高成長でも、投資家の期待が高すぎる場合はリターンが低くなってしまい、これをジェレミー・シーゲルは「成長の罠」と呼んでいます。


下はS&P500、ヘルスケア、生活必需品、エネルギーのETFの過去10年のチャートです。


2014年以降のエネルギーセクターは原油安の影響で低迷していますが、それ以外のリターンはヘルスケア、生活必需品、S&P500の順番になっています。また、リターンだけでなく、生活必需品、ヘルスケアセクターは暴落にも強いとされています。S&P500はリーマンショック前の高値から底値まで50%以上暴落しましたが、生活必需品は約3割、ヘルスケアは4割弱の下落で済んでいます。

これを踏まえて、私のポートフォリオでは生活必需品、ヘルスケア、エネルギーセクターの比率を高め、暴落に強くするために特に生活必需品セクターを多く保有しています。

最も高リターンだったヘルスケアセクターをもう少し増やしたいので、今年は生活必需品の追加投資を控えて、ヘルスケア株を多く買っていくつもりです。ちょうどトランプ次期大統領が製薬会社を批判しているので、買い増しするには良い状況が続くのではないかと思っています。




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