世界各国の株式リスクプレミアム(ヒストリカルとインプライド)


株式リスクプレミアム(ERP:Equity Risk Premium)は株式の期待リターンから無リスク金利(長期金利)を差し引いたものですが、これは直接観測することができないため、何らかの方法で推計する必要があります。

伝統的な方法はヒストリカル法で、株式と国債の過去リターンの差を求めます。以前ご紹介した「株式リスクプレミアムの時系列変動の推計(PDF)」では、このヒストリカル法のリスクプレミアムをEXR(Equity Excess Return:超過収益率))と呼んで、ERP(株式リスクプレミアム)と区別していました。
 過去記事:日米の株式リスクプレミアムの推移

今回はアスワス・ダモダラン教授の「Equity Risk Premiums: Determinants, Estimation and Implications - The 2020 Edition」から世界各国の株式リスクプレミアム(ヒストリカルとインプライド)を見ていきます。

ヒストリカル・リスクプレミアム

下表は1900〜2017年の世界各国の株式と国債のリターン格差です。左は「株式-短期国債」、右は「株式-長期国債」です。

出典:Equity Risk Premiums: Determinants, Estimation and Implications - The 2020 Edition

「株式-長期国債」を降順に並べてみました。
ポルトガル、南アフリカ、フィンランド、ドイツ、日本、オーストラリアが5%超の一方、スペイン、スイス、デンマーク、ベルギー、ノルウェーは2.5%以下と非常に低いです。

ちなみにスイスについては、ピクテによると1927~2019年の実質トータルリターンは株式が5.39%に対して長期国債は2.14%となっており、差は3.25%です。同時期の米国は株式が6.53%に対して長期国債が1.85%であり、差は4.68%です。
 過去記事:米国株・スイス株・米国債・スイス国債の長期パフォーマンス比較(1927~2019年)

「株式-短期国債」順では以下のようになっています。
南アフリカ、日本、ドイツ、フィンランド、オーストラリアあたりは長期国債、短期国債ともにヒストリカル・リスクプレミアムがかなり高くなっています。

日本はバブル崩壊後では国債>株式、現預金>株式というイメージになっていましたが、1900〜2017年ではかなり株式のほうが高リターンだったんですね。

二種類を並べてみました。
下表は1976〜2001年のヒストリカル・リスクプレミアムです。
出典:Equity Risk Premiums: Determinants, Estimation and Implications - The 2020 Edition

新興国は全体的に高めですが、インドは4.16%と低いです。先進国のなかで最も高いのは4.91%のフランスで、最も低いのは1.69%のカナダです。

インプライド・リスクプレミアム

ヒストリカル・リスクプレミアムはあくまでも過去の数値をもとに計算しています。

一方で現在の株価に織り込まれているのがインプライド・リスクプレミアムです。米国株のインプライドプレミアムは以下のように推移しています。だいたい4〜5%程度で、ヒストリカル・リスクプレミアムと同じような感じですね。
 過去記事:『割引率=長期金利+株式リスクプレミアム』の安定感について

カントリーリスクプレミアム

米国外の株式リスクプレミアムは「米国の株式リスクプレミアム+その国のカントリーリスクプレミアム」で計算することができます。

ダモダラン教授が推計するカントリーリスクプレミアムは2020年7月時点では以下のようになっています。
 過去記事:世界各国のカントリーリスクプレミアム(2020年7月)

米国の株式リスクプレミアムを足すと以下のようになります。
ちなみにMarket Risk Premiaというサイトでは成長率をゼロとしたときの各国のインプライド・リスクプレミアムの時系列チャートが見られます。
 過去記事:世界各国株式のインプライド・リスクプレミアムの時系列チャートが見られるサイト


よろしければ応援クリックお願いします
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

コメント