コモディティプレミアム


最近読んだ投資本のなかではアンティ・イルマネン著『期待リターンII』が一番面白かったです。

 過去記事:真の市場ポートフォリオ


過去数十年にわたって金利低下・バリュエーション拡大の棚ぼた的利益を得てきたので今後の期待リターンは低くなるというところは広く言われていることですが、たくさんデータが載っているのでとても読み応えがありました(小並感)


個人的に特に気になったのがコモディティプレミアムについてです。


コモディティは単一であればボラティリティが高すぎる(30%近く)ために算術超過リターン(対キャッシュ)は4%なのに幾何平均ではゼロになってしまう一方、等加重コンポジットではボラティリティが18%と低くなるので幾何平均超過リターンが3%超になるんだそうです。

(期間は1877年〜2020年、最大29のコモディティの対キャッシュ超過リターン。コモディティによってサンプル期間が違うので等加重と単一の算術平均に差があります。)

データ:アンティ・イルマネン著『期待リターンII』


みんな大好きシーゲル長期チャートではゴールドは1802年以降で実質ベースではほぼ横ばいだったので、なんとなくコモディティといえば実質リターンはゼロというイメージを長年持っていましたが、ニクソンショック以降の約50年では株式に肉薄するリターンを生んでいます。

そういえば以前見つけたコモディティの長期実質データでも、単一で上昇しているのはゴールドやエネルギー、牛肉など一部で大半は下落しているにもかかわらず、指数では上昇という感じでした。

 過去記事:コモディティ価格の長期推移


有名なレイ・ダリオのオールシーズンズ・ポートフォリオでもコモディティ比率はゴールドと同じ7.5%ですし、ポートフォリオに多少のコモディティを組み入れるメリットはやはりそれなりに大きいのかなと感じました。最初にオールシーズンズ戦略を知ったときは実質リターンがマイナスでも他アセットとの相関が低いなら意味はあるのかと一応納得していましたが、対キャッシュで超過リターンがあるなら組み入れる抵抗が薄れそうです。


ちなみに『期待リターンII』によると、GSCI(S&P GSCI商品指数)とBCOM(ブルームバーグ商品指数)では、GSCIは世界の生産ウェイトを使っているためエネルギーに偏重している一方、BCOMは流動性と生産ウェイトのブレンドを使っているのでよりバランスがとれているそうです。


myindexを見てみても過去30年(円換算)ではGSCIが+2.4%に対してBCOMは+3.8%と若干良いですが、直近3年ではGSCI+32.3%、BCOM+23.5%とエネルギー比率の高いGSCIが大きく上昇しています。


GSCIに連動するETF・投信はGSG、iシェアーズ コモディティインデックス・ファンド、BCOMに連動するETF・投信は1684(WisdomTree総合上場投資信託)、eMAXISプラス コモディティインデックス等があるようです。


BCOMのほうがエネルギー偏重でないので良いとすると、信託報酬だけを見ると0.49%と0.9%で低コストな1684のほうが良さそうですが、流動性なさそうなので投信のほうが無難ですかね。


バケツ戦略とかでも中期バケツにある程度インフレ耐性を持たせるために若干コモディティ入れたりするのも良いのかなと思いました。

 過去記事:バケツ戦略を検討




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