NYダウ構成銘柄のPERと織り込まれている成長率


ニューヨーク大学のアスワス・ダモダラン教授によると、2019年1月のS&P500のリスクプレミアム(インプライド・リスクプレミアム)は5.96%だそうです。
(過去記事:世界各国のカントリーリスクプレミアム

PERは株式リスクプレミアム、無リスク金利、成長率を使って以下のように表すことができます。

 PER=1/(割引率-成長率)
    =1/(無リスク金利+株式リスクプレミアム-成長率)

株式リスクプレミアム=5.96%、無リスク金利(米10年国債利回り)=2.12%とすると、PERに織り込まれている成長率は以下のように計算することができます。

 成長率=株式リスクプレミアム+無リスク金利-1/PER
    =5.96%+ 2.12%-株式益利回り
    =8.08%-株式益利回り

今回はこれをもとにNYダウ構成銘柄のPERに織り込まれている成長率を計算してみました。

これは永久に一定の成長率が続くとした場合なので、1-10年目の成長率=X%、11年目以降=2%(インフレ率並み)としたときの成長率も併せて計算してみました。
(過去記事:成長率と適正PERを考える

NYダウ構成銘柄のPERと織り込まれている成長率

成長率一定とした場合

まず成長率を一定とした場合です。

景気敏感株に対してはあまり使えなさそうですが、低成長のディフェンシブ株では一定の成長率が永久に続くと仮定してもそれほど非現実的ではないんじゃないかなと思います。

現在のPERが織り込んでいる成長率を昇順に並べると以下のようになります。
※PERはMorningstarの予想PERを使っています。

社名予想
PER
成長率
GSゴールドマン・サックス9.18-2.81%
WBAウォルグリーン・ブーツ・アライアンス9.23-2.75%
IBMIBM10.24-1.69%
CATキャタピラー11.20-0.85%
DOWダウ11.30-0.77%
INTCインテル11.53-0.59%
JPMJPモルガン・チェース11.68-0.48%
VZベライゾン・コミュニケーションズ12.03-0.23%
TRVトラベラーズ13.990.93%
PFEファイザー14.561.21%
JNJジョンソン&ジョンソン15.601.67%
AXPアメリカン・エキスプレス15.701.71%
AAPLアップル16.421.99%
UTXユナイテッド・テクノロジーズ16.752.11%
MRKメルク16.862.15%
CSCOシスコシステムズ16.922.17%
CVXシェブロン17.572.39%
UNHユナイテッド・ヘルス18.082.55%
MMMスリーエム18.252.60%
XOMエクソン・モービル19.612.98%
HDホームデポ21.603.45%
DISウォルト・ディズニー・カンパニー22.273.59%
BAボーイング23.583.84%
WMTウォルマート23.923.90%
PGP&G24.393.98%
KOコカ・コーラ24.814.05%
MCDマクドナルド26.534.31%
MSFTマイクロソフト27.104.39%
Vビザ29.074.64%
NKEナイキ30.774.83%

米国の名目潜在成長率が4%程度であることを考えると、PGやKO、MCDのPERはかなり割高に思えますね。

なお、PERと成長率をグラフ化すると以下のようになります。

1-10年目の成長率=X%、11年目以降=4%とした場合

次は1-10年目の成長率=X%、11年目以降=2%(インフレ率並み)とした場合です。

グロース株は一定の成長率が永久に続くとするのは非現実的なので、こちらのほうが良さそうです。

1-10年目の成長率Xを昇順に並べると以下のようになります。

社名予想
PER
成長率
(1-10年目)
GSゴールドマン・サックス9.18-6.00%
WBAウォルグリーン・ブーツ・アライアンス9.23-5.92%
IBMIBM10.24-4.52%
CATキャタピラー11.20-3.32%
DOWダウ11.30-3.20%
INTCインテル11.53-2.94%
JPMJPモルガン・チェース11.68-2.76%
VZベライゾン・コミュニケーションズ12.03-2.37%
TRVトラベラーズ13.99-0.38%
PFEファイザー14.560.15%
JNJジョンソン&ジョンソン15.601.05%
AXPアメリカン・エキスプレス15.701.13%
AAPLアップル16.421.72%
UTXユナイテッド・テクノロジーズ16.751.98%
MRKメルク16.862.06%
CSCOシスコシステムズ16.922.11%
CVXシェブロン17.572.60%
UNHユナイテッド・ヘルス18.082.97%
MMMスリーエム18.253.10%
XOMエクソン・モービル19.614.03%
HDホームデポ21.605.29%
DISウォルト・ディズニー・カンパニー22.275.68%
BAボーイング23.586.43%
WMTウォルマート23.926.61%
PGP&G24.396.87%
KOコカ・コーラ24.817.09%
MCDマクドナルド26.537.96%
MSFTマイクロソフト27.108.23%
Vビザ29.079.15%
NKEナイキ30.779.89%

MSFTやVはこちらのほうが現実的な感じがします。

なお、PERと1-10年目の成長率Xをグラフ化すると以下のようになります。

保有銘柄のPERと織り込まれている成長率

同じことを保有銘柄(検討中含む)で計算してみました。

なお、ADR銘柄については株式リスクプレミアムにカントリーリスクプレミアム(イギリス0.69%、台湾0.84%、中国0.98%、メキシコ1.67%、インド2.64%、ロシア3.47%)を足して計算しています。
(過去記事:世界各国のカントリーリスクプレミアム

成長率一定とした場合

まず成長率を一定とした場合、現在のPERが織り込んでいる成長率は以下のようになります。
※PERはMorningstarの予想PERを使っています。


社名予想
PER
成長率
FCAUフィアット・クライスラー・オートモービルズ4.17-15.90%
MBTモバイル・テレシステムズ6.66-3.47%
BTIブリティッシュ・アメリカン・タバコ9.11-2.21%
CIシグナ10.93-1.07%
TAPモルソン・クアーズ・ブリューイング11.66-0.50%
MOアルトリア・グループ12.00-0.25%
WBKウエストパック銀行12.530.10%
ADMアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド12.590.14%
AMGNアムジェン12.760.24%
PFEファイザー14.561.21%
JNJジョンソン&ジョンソン15.601.67%
PMフィリップ・モリス・インターナショナル15.751.73%
GDゼネラル・ダイナミクス15.821.76%
NGGナショナル・グリッド14.391.82%
GSKグラクソ・スミスクライン14.561.90%
GISゼネラル・ミルズ16.341.96%
AAPLアップル16.421.99%
NTRニュートリエン17.092.23%
NOCノースロップ・グラマン17.422.34%
UNHユナイテッドヘルス・グループ18.082.55%
MDTメドトロニック18.182.58%
MMMスリーエム18.252.60%
LMTロッキード・マーティン18.942.80%
VODボーダフォン16.922.86%
NVOノボ・ノルディスク19.422.93%
SHWシャーウィン・ウィリアムズ22.323.60%
IFFインターナショナル・フレーバー&フレグランス22.683.67%
STZコンステレーション・ブランズ22.833.70%
HRLホーメル・フーズ22.883.71%
BAボーイング23.583.84%
TMOサーモ・フィッシャー・サイエンティフィック23.923.90%
GOOGアルファベット24.754.04%
KOコカ・コーラ24.814.05%
TSM台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング20.924.14%
MSFTマイクロソフト27.104.39%
Vビザ29.074.64%
DEOディアジオ24.334.66%
MKCマコーミック30.584.81%
ZTSゾエティス33.005.05%
BABAアリババ・グループ・ホールディング25.325.11%
ECLエコラボ33.905.13%
MAマスターカード36.765.36%
FMXフォメント・エコノミコ・メヒカノ22.835.37%
ROLローリンズ46.305.92%
AMZNアマゾン・ドット・コム62.506.48%
HDBHDFC銀行30.217.41%


MBTは人口減少国のロシアということを加味しても安いように思えます。ただし、米国上場廃止を検討しているようなので、撤回されない限りは買い増しするつもりはありません。
(過去記事:MBT(モバイル・テレシステムズ)が米国上場廃止を検討

CIもかなり割安に思えるので買おうかなと思っています。医薬品リベート廃止計画の撤回で先週は10%ほど上がってしまいましたが…

タバコ株は一見割安そうにみえますが、FDAによるニコチン含有量規制や大麻合法化などでタバコ売上が激減する可能性を考えると何ともいえないですね。

大麻については単独使用よりもタバコと併用する人が多いというデータがあるのでそれほど大打撃を受けないんじゃないかなと楽観的に考えていますが、ニコチン含有量を中毒性のないレベルまで引き下げられてしまう可能性を考えると慎重になったほうが良いのかもしれません。
(過去記事:大麻は単独使用よりもタバコとの併用が多い

1-10年目の成長率=X%、11年目以降=4%とした場合

1-10年目の成長率=X%、11年目以降=2%(インフレ率並み)としたときの成長率Xは以下のようになります。


社名予想
PER
成長率
(1-10年目)
FCAUフィアット・クライスラー・オートモービルズ4.17-17.38%
MBTモバイル・テレシステムズ6.66-5.17%
BTIブリティッシュ・アメリカン・タバコ9.11-4.85%
CIシグナ10.93-3.65%
TAPモルソン・クアーズ・ブリューイング11.66-2.79%
MOアルトリア・グループ12.00-2.41%
WBKウエストパック銀行12.53-1.83%
ADMアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド12.59-1.77%
AMGNアムジェン12.76-1.59%
PFEファイザー14.560.15%
JNJジョンソン&ジョンソン15.601.05%
PMフィリップ・モリス・インターナショナル15.751.17%
GDゼネラル・ダイナミクス15.821.23%
NGGナショナル・グリッド14.391.38%
GSKグラクソ・スミスクライン14.561.54%
GISゼネラル・ミルズ16.341.65%
AAPLアップル16.421.72%
NTRニュートリエン17.092.24%
NOCノースロップ・グラマン17.422.49%
UNHユナイテッドヘルス・グループ18.082.97%
MDTメドトロニック18.183.05%
MMMスリーエム18.253.10%
VODボーダフォン16.923.55%
LMTロッキード・マーティン18.943.58%
NVOノボ・ノルディスク19.423.91%
SHWシャーウィン・ウィリアムズ22.325.71%
IFFインターナショナル・フレーバー&フレグランス22.685.92%
STZコンステレーション・ブランズ22.836.01%
HRLホーメル・フーズ22.886.04%
BAボーイング23.586.43%
TMOサーモ・フィッシャー・サイエンティフィック23.926.61%
TSM台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング20.926.68%
GOOGアルファベット24.757.06%
KOコカ・コーラ24.817.09%
MSFTマイクロソフト27.108.23%
DEOディアジオ24.338.37%
Vビザ29.079.15%
BABAアリババ・グループ・ホールディング25.329.53%
FMXフォメント・エコノミコ・メヒカノ22.839.55%
MKCマコーミック30.589.81%
ZTSゾエティス33.0010.80%
ECLエコラボ33.9011.15%
MAマスターカード36.7612.21%
ROLローリンズ46.3015.23%
HDBHDFC銀行30.2115.34%
AMZNアマゾン・ドット・コム62.5019.20%

まとめ

私は生活必需品やヘルスケア等のディフェンシブな低成長・高配当株を好んでいます。

これはシーゲル教授のいう「成長の罠」を意識しているところが大きいのですが、もしかすると現在は反対にハイテク株の成長が過小に織り込まれ、ディフェンシブ株の成長が過大に織り込まれている可能性もあるんじゃないかなと思っています。

特にVやMAは長期にわたって高成長が続きそうに思えますし、生活必需品はプライベートブランドの台頭やミレニアル世代の健康志向などで想像以上に成長が鈍化するかもしれません。

景気後退に強いという意味でも、現在のディフェンシブ株のPERは以前と比べてかなり高くなっているものが多いので、ディフェンシブなので景気後退期のドローダウンが小さく済むとも限らなさそうです。
(過去記事:生活必需品株のディフェンシブ性について:主要銘柄のPER推移
(過去記事:公益セクター主要銘柄のPER推移
(過去記事:ヘルスケアセクター主要銘柄のPER推移

また、これは無リスク金利を2.12%として計算しましたが、金利が上昇すれば上記の成長率がそのぶん高くなるか、PERが下がる(=株価が下落する)必要があります。

次の記事では金利が上昇した場合を書こうと思っています。



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